AFP-時事の伝えた「ロシア、核搭載可能ミサイルの模擬発射訓練」なるニュースは、ちょっと話題を呼んでおりました。本日はこのニュースについて、簡単に議論いたしましょう。
伝えられたニュース
Yahooに掲載されたAFPのニュースには、現時点で1,778件のコメントが寄せられております。これ、しかし、模擬弾頭を搭載したミサイルを発射したような受け止め方がなされているように思われます。ニュースに添えられた写真がこれですから。(ちなみに、この写真は、いわゆる資料映像で、今回の訓練とは別物ですのでお間違いのないように。)
実際には、今回おこなわれた訓練は、コンピュータシミュレーションで、JIJI.comでは以下のように伝えております。
ロシア軍は4日、バルト海沿岸の飛び地カリーニングラード州で、核兵器を搭載可能な地上発射型ミサイルシステム「イスカンデル」の模擬発射を実施したと発表した。
インタファクス通信が伝えた。短距離弾道ミサイルか巡航ミサイルかには触れていない。演習は「電子発射」と呼ばれるシミュレーションで、実弾は発射しない。
こういう訓練なら我が国だってできるわけで、核ミサイルにとどまらない、衛星爆弾だろうとコロニー落としだろうと、なんだってできちゃいます。プレステかなんかでそういうソフトを準備すればね。
まあ、ロシアは核兵器を実際に持っているというところが危ないわけですが、、、
AFPのニュースは、ちょっと誤解を誘いやすい、適正さに欠けるニュースであるような気も致します。
今後の展開は
上のAFPのYahooニュースに付けられたコメントは、ロシアによる核兵器使用を危ぶむものが多かったのですが、これが単なるシミュレーションであるとなりますと、核ミサイル発射ボタンの納められたアタッシュケースを見せびらかすのと同じ、おら、核、持ってるだ的な脅しであるようにも思えます。
ロシアといいますと、米ソの冷戦時代には二大陣営の一方のリーダー的国家で、誰もが恐れた存在であったのですが、現在の実体はどうかといいますと、それほどびっくりするような国家でもない。
これを日本と比べますと、人口は、日本の1.23億人に対してロシアは1.44億と、ほとんど同じ程度です。一方経済力の指標であるGDPは、ロシアの1.48兆ドルに対して我が国は5.07兆ドルと、日本はロシアの3倍以上の経済大国なのですね。
これだけ見ますと、日露戦争をもう一度やっても我が国はロシアに楽勝できそうですが、ロシアが6千発以上の核弾頭を保有しているのに対して我が国はゼロと、核兵器保有において段違いとなっております。
つまり、本気で戦争すると、始めた瞬間に日本は焦土になってしまう。ロシアの核兵器使用を抑止するためには、我が国も核ミサイルを保有し、できれば原潜などの形でそのありかを秘匿しておかなくてはいけません。
そして、それだけでは、お互いが焦土になったとしても、失うものは日本の方が大きいわけですから我が国の負け。持つべき武器は、敵の核ミサイルを(できれば敵の領土内で)打ち落とす防御システムということになります。
最近、電磁砲なんて話もあったのですが、電磁砲は核ミサイルを落とすには少々力不足で、可能性があるとすれば、電波兵器とか、強力なレーザが有望ではないかと思います。こうした兵器を硬式飛行船に搭載して、敵国の領空ぎりぎりの位置の高高度で、敵の核ミサイルが飛んでくるのを待てばよいのですね。
閑話休題。とはいえ、核兵器というもの、そうそう簡単に使えるわけでもなく、ロシアの核は単なる脅しに終始する可能性が高いものと思いますが、ロシアという国家が存亡の危機に立たされますと、破れかぶれで使ってしまう可能性もゼロではなく、このあたりの対応が難しいところです。
2022.5.8追記:不破雷蔵氏の5/3付けYahooニュース個人記事によりますと、軍事費は我が国の491億ドルに対してロシアが617億ドルと1.26倍にとどまっています。そしてその対GDP比率は、我が国の1%に対してロシアは4.26%と(以下の不破氏グラフから読み取り)。NATOは加盟国に軍事費を対GDP2%とするよう求めておりますが、我が国がこれに歩調を合わせた場合には、日本の軍事支出はロシアの1.5倍程度と、これを凌駕することも可能です。
これは今すぐどうこうなるわけではありませんが、我が国のこの先の取るべき選択として、防衛費を増額し、予算ベースで米国、中国に次ぐ世界第三位の軍事大国とすること、特に、ハイテク兵器に集中投資することで、実質世界トップレベル(米国には負けるでしょうが)とすることが理想的でしょう。
そうしてこそ、我が国が世界の平和を維持する上で、一定の役割を果たせるというものです。現状では、何を言っても相手にされないのですね。
ありそうな展開
この先5月9日のナチスドイツに対する戦勝記念日にロシアが何かするのでは、との見方が一部にあります。しかし、ウクライナ問題がそれほど胸を張れるような展開になっていなければ、誇らしい日にこの話を持ち出すことは逆効果ですから、単なる精神面での鼓舞にとどまるのではないかという気も致します。
一番ありそうな展開は、このままずるずると長期化することで、西欧諸国がウクライナに軍事物資を支援し、ウクライナはゲリラ戦を展開、ロシアは支配領域を広げられず、消耗を続けるという展開です。
で、先に述べましたように、ロシアの人口は日本程度で、経済規模は日本の1/3以下となりますと、ロシアは全世界を相手に、いつまでもこんなことを続けてはいられない。おそらくは、いずれかの時点で、ロシアにとってあまり面白くない形で終戦ということになるのではないかと思います。
それでただで済むはずもなく、ウクライナはおそらく、戦争犯罪を告発し、ロシアに賠償を求める可能性が高い。そこでロシアが資金難に直面するという事態が予想されるのですね。
その時日本には、樺太と千島列島の金銭による割譲を提案する道があります。北方領土も返してもらわねばいけないのですが、こちらはもともと日本のものですから、無償で返していただく。これをスムーズに行うためには、その他のものを付けて一体の形でお譲りいただけばよいわけですね。
広大な領土を持つロシアにしてみれば、小島の一つや二つ、どうということもないはずで、これで経済問題が解決すれば御の字。我が国にしてみれば、北方領土の問題が片付く上に、漁業がやりやすくなり、多少の地下資源がプラスになる。
まあ、どうせなら、カムチャッカ半島からバイカル湖の東側、かつての極東共和国の領域ぐらい頂きたいところですが、さすがに欲張りすぎはいけません。
まあ、どうなるかはわかりませんが、この先、いろいろな展開をにらんで、我が国にとってベストな形で落ち着きますよう、うまくやっていただきたいところです。
5/9追記:早速動きがありました。5/9付けYahooニュースの伝えるFNNプライムオンライン「再建費用は『ロシアに賠償させる』 ロシア軍による損害はウクライナGDP約4年分78兆円との試算も」によりますと、って、タイトル通りのお話になっております。
この数字をはじき出しましたのはキーウ経済大学院大学(KSE)、「ウクライナ政府は、オランダのハーグにある国際司法裁判所(ICJ)に対してこの問題を提起しており、3月16日に聴聞会が開かれていた」とも伝えております。ウクライナ政府、本気です。
いそいで、モヒカンにしてとげとげ付き肩パットとバギーを買わないと。
あと種もみも重要だよ。