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失われた30年、誰のせいやねん

岡本裕明氏の9/20付けアゴラ記事「本当にそうなった『失われた30年』:GDPは数年で10位まで下落」へのコメントです。


国内の製造能力指数というのもあります。為替リスクや運送コストを嫌い、税制や現地雇用など政治的配慮や許認可問題をクリアするため、企業の海外移転(いわゆる地産地消)も進みました。国内では景気の先読みに対する躊躇や少子化から投資が伸びなかった結果、現在の製造業の生産能力はなんと1984年水準とされます。

なぜかここには書いていないのですが、我が国の工場の海外移転(いわゆる空洞化)が一気に進んだのは、民主党政権時代の行き過ぎた円高が象徴的でした。以下URLの貿易収支の図をご参照ください。https://agora-web.jp/archives/220617065854.html

民主党政権の爪痕は、貿易収支のグラフにもくっきりと表れております。そして、安倍政権に代わったのち、為替水準の回復とともに貿易収支の大幅な赤字は徐々に解消されたのですが、民主党政権以前の水準には、今に至るまで戻っておりません。

なにぶん、工場の移転にはコストがかかりますから、一旦出て行った工場は、そう簡単には戻ってこない。海外よりも国内の生産で大きな利益が出るような、大幅な円安時代を経験するまでは、多少の円安で貿易収支が大きく黒字になることは期待薄です。

インバウンドは、たしかに貿易収支の改善にはプラスかもしれませんが、優秀な観光資源を持つイタリアやギリシアが、観光収入で大いに潤っているかといえばそうでもない。やはりここは、近代的な工業製品や情報・金融サービスといった高生産性の産業で稼ぐしかありません。なにぶん、国民の収入は、生産性にリンクしているのですから。


ドル円と貿易収支のグラフを追加しておきます。

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