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雨宮次期日銀総裁(?)への期待

池田信夫氏の2/6付けアゴラ記事「黒田日銀の『失われた10年』で発見したこと」へのコメントです。


国内の需要不足の最大の原因は現預金の増加ではなく、製造業の空洞化なのだ。これは1990年代に中国がWTOに加盟したころ始まり、1998年の金融危機のあと加速し、黒田日銀の時代に史上最大になった。日経平均は上がり、大企業は史上最高益になったが、実質賃金は下がった。

これが日本経済にとっての最大の問題であることは確かでしょう。でもその主たる原因は為替の円高ではないでしょうか。ドル円は、70年代から80年代前半にかけて、300円から250円まで下げた後、85年のプラザ合意で150円付近まで下げております。この円高の結果、国内製造業、特に輸出産業は利益の出にくい体質となり、海外へと出て行く。特に80円付近までの円高の進んだ民主党政権時代に、空洞化は一段と進みました。

もちろん、投資立国という生き方はある。現に、海外に出た工場は日本企業の支配下にあり、そこで発生した利益は国内に還流します。でもこれで潤うのは、企業と投資家であって、日本人労働者の給与という形にはなりにくいのですね。

結局のところ、日本の経済成長のためには、製造業を国内に戻すしかない。これには、労働慣行の見直しや情報技術の活用による低コスト体質化、高い競争力を持つ技術開発なども効果的でしょうが、手っ取り早いのは円高による空洞化を逆転させる円安なのですね。

次期日銀総裁が有力視されている雨宮氏に期待されているのは、黒田緩和路線の巻き戻しではなく、緩和路線の緩急をつけての継続ではないかと思いますよ。この先、コントロールが難しいことは確かなのですが、穏やかな円安基調を保ち、国内に製造業を取り戻していけば、日本経済を再び成長軌道に乗せることも現実的ではないかと思います。白川前総裁が、こういう路線を嫌われるであろうことも、理解できないではないのですが。


ブログ限定で、参考図を付けておきます。


2/10 午後5時過ぎの追記です。

これは外しましたね。雨宮氏に辞退されてしまっては致し方ありません。次期日銀総裁になられます植田氏、MITで学位を取得された経済学者とのことですが、さて、方向性はどうなるのでしょうか。

現在のドル円、132円に近いレベルから130円直上まで大きく下げております(円高です。)緩和路線の雨宮氏ではなかったとのサプライズではあると思いますが、この先が気になります。


以下は、2/10午後9時過ぎの追記です。

Yahooの日テレニュースによりますと、以下の通り、植田氏は緩和路線継続の意向を示しております。

> 政府が日本銀行の次期総裁として起用の方針を固めた元日銀審議委員の植田和男氏が取材に応じ、現在の政策は適切だとして「金融緩和の継続が必要」との見方を示しました。https://news.yahoo.co.jp/articles/c3f20f07e7bb9d0e4639fe6948a465094899202c

ドル円は、131円直上まで、ほぼ半戻しの形となっております。植田氏が黒田路線継承ということでしたら、雨宮氏の次期総裁就任とさして変わらないことになり、まずまずの結果ということになりそうです。https://finance.yahoo.com/quote/JPY%3DX/chart?p=JPY%3DX

実際のところは、お手並みを拝見しないと分からないのですが。

1 thoughts on “雨宮次期日銀総裁(?)への期待

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