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2050年の自動車を動かすもの

室中善博氏の4/30付けアゴラ記事「EUのEV化戦略:炭素と水素から成る合成燃料(e-fuel)を容認」へのコメントです。


2030年代の中ごろには、核融合なり本質的に安全な原子炉が実用化されるはずで、電力不足はあまり心配いらない。むしろ、夜間電力が余ることを心配する必要があり、EVの夜間充電は、電力需給を均す一つの手段と考えられるのですね。そのほかにも、夜間電力貯蔵用の蓄電池をEV充電ステーションに備えれば、急速充電のための大電流供給も容易になるという利点もある。10年先20年先を考えるとき、今日の他の技術がそのままと思ってはいけません。

e-fuelは、現在FT法による炭化水素合成が中心に考えられているようですが、この方法は高圧プロセスが必要でコスト高という欠点がある。メタネーションは、FT法に似ていますけど、かなり容易なプロセスです。また、メタノール合成も比較的容易で、メタノールを脱水してジメチルエーテル(DME)にすることも容易です。DMEはプロパンガスに似た性質があり、LPGと同様に使うことができます。

メタネーションで作られるメタンは天然ガスですから、都市ガスにそのまま使えるし、ガスタービン発電所でも使え、昼夜の電力需給を均すこともできます。

メタノールは、燃料用アルコールの成分ではあるのですが、毒性があることから、できればエタノールの方が好ましい。エタノールなら、バイオエタノールと同じチャンネルで流せますし、合成化学原料としてエチレンに転換するのも容易なのですね。

2050年ごろには、石油資源も枯渇してくるはずですし、水電解のコストダウンも進むはずで、e-fuelの価格競争力も出てくるでしょう。まあ、自動車業界の思惑が、e-fuelで走る車を作らせてもらえれば、それを地下資源で走らせることもできるわい、なのかもしれませんけど。

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