郷原信郎氏の6/3付けアゴラ記事「容疑者完全黙秘の殺人事件で露骨になる『犯人視報道』と“日本の刑事司法の構造”」へのコメントです。
検察側の弁明不能な冤罪事件として、松本サリン事件がありましたね。詳細はWikipediaの「松本サリン事件」などをご参照いただくとして、このケースでも、警察のリーク情報が大活躍をしております。
一つの問題は、この手の事件をエンターテインメントとして扱うジャーナリズムの姿勢があり、メディアスクラムなどと言われる過剰な取材も問題なのですが、こちらはメディア各社の下劣さという、個別の問題ではあります。
それよりも大きな問題は、我が国の警察検察が、報道機関をおのれの意のままにコントロールしてしまっているという問題であり、気に喰わないメディアにはリークしないというのが一つのコントロール手段になっていることなのですね。
その内容が間違っている、というのも大問題ですが、このようなメカニズムで我が国の言論・報道の自由が阻害されていることが大問題。先進国にはあるまじき状況です。
これが、我が国の内部に秘せられた事実であるなら問題も少ないのですが、すでに国際的に知れ渡ってしまった。だから、我が国の司法が海外では信用されない。我が国で有罪判決を受けた人間が、『アンフェアな日本司法の被害者』として扱われてしまう。これでは日本は真の独立国とは言えない。さあ、どういたしますか?
ほかの方のコメントに返信を入れました。
田中小太郎
むしろ検察の不起訴案件のほうが気になるんだけどね。
何故か外国人が絡むとやたらに「不起訴・理由非公表」が多くなるようだ。ちなみに日本人と違って外国人は決して自白しない。
瀬尾 雄三
下でもコメントしましたけれど、外国人が不起訴になりやすい理由の一つに、下手に起訴して有罪になったりいたしますと、我が国の警察・司法制度が批判されるリスクを嫌ってのことではないかと思います。
少し前のアゴラにアルコニス問題が紹介されておりましたが、我が国で有罪判決を受けた米国人が不当判決であるとの意見が米国で高まり、身柄の米国移送を要求されております。
こんな要求を受け入れると、我が国の司法の独立は地に落ちてしまうのですが、我が国の司法を信用しない米国世論にももっともなところがある。つまり過去にさんざん冤罪事件を起こし、マスメディアもこれを伝えないという共犯関係が成り立っているのですね。このアルコニス問題も、我が国の大手メディアはほとんど伝えておりません。
こういう背景がありますと、我が国の検察・司法は、外国人による犯罪に対して有罪判決を下しにくい。逆に言えば、外国人は日本国内でやりたい放題ということになってしまいます。そして、運悪く捕まった時は、「不当逮捕だ!不当判決だ!」と騒ぎ立てればよいし、米国の政治家には選挙民に良い顔をするチャンスができるわけですね。
これは、ハッキリ言って情けない状況です。我が国の警察関係者、検察・司法当局は大いに恥じ入るべきだし、マスメディアも上に同じなのですね。政府に批判的な方々も、この点は大いに責めるべきです。そして、万一、検察の不当な処置がなされたら、海外の友人たちに依頼して、「不当逮捕だ!不当判決だ!」とおおいに批判してもらえばよいのではないでしょうか。だって、これは事実なのですからね。
本件に関しては、本ブログで以前も議論いたしました(こちらやこちらが先でした)。また、ちきりんさんのブログ「検察が逮捕したい人一覧」、「無罪の人を牢屋に入れることの意味が理解できないらしい怖い人達」も大いに参考になります。まったく、何をやっているのだか。
むずい