池田信夫氏の8/3付けアゴラ記事「IPCCは1.5℃目標と『2050年排出ゼロ』を卒業する」へのコメントです。
農水省所轄の研究機構「NARO」は「農業環境研究成果情報:第14集 (平成9年度成果)(=1997年)」の中で、「地球温暖化による主要穀類栽培可能地分布と潜在生産力の変化」と題するレポートを発表しております。その要約は以下の通りです。
現在と二酸化炭素濃度倍増時の世界の主要穀類等栽培可能地における潜在生産力(純一次生産力)の分布を求めた。現在の穀物生産量と潜在生産力との比(潜 在的生産可能性)は,温暖化によってカナダ,ロシアでは6~9倍,中国では2.1倍になるのに対してアメリカでは約30パーセント減少すると予測された。
温暖化は、数字の上では、人類にとって良いことの方が多いかもしれないのですが、カナダ、ロシア、中国の食糧生産量が飛躍的に増大するのに対して、米国は減少してしまう(図より読み取る限り、ヨーロッパ諸国も軒並み減少するようです)という変化が、西側先進国にとって、果たして受け入れられるものかどうか、実際問題として、こちらが問題なのではないでしょうか。
もっとも、石油や天然ガスといった今日主流のエネルギー資源は、現在の予測では、30年後には枯渇するとみられておりますから、温暖化の問題がなくても、そのころには他のエネルギーに切り替えるしかない。
これには、太陽光や風力以外に、核融合に代表される核エネルギーという道もあるとは思いますが、結局は、温暖化の有無を別としても、炭酸ガスを出さない方向に人類は歩まざるを得ない。結果オーライであるような気も致しますので、あまりこの問題で騒ぐ必要はないように思っております。
あったかいんだからぁ