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空洞化と、企業のグローバル化

池田信夫氏の5/1付けアゴラ記事「円安の原因は日本企業のグローバル化である」へのコメントです。


「グローバル化」といえば聞こえが良いけれど、これは企業サイドに立った見方で、日本から見れば「空洞化」というわけですね。

企業のグローバル化は、原料・製品などの輸送の最適化や、資源、ユーティリティコスト、税制などの社会的規制など、さまざまな要素を勘案して判断されるのですが、日本というくくりで見れば、空洞化の主な原因は自国通貨高により、国内生産が困難になったために生じたというのが歴史的事実です。

空洞化が生じると、国内生産が減少するため、貿易収支は減少し、赤字化が進む一方で、海外工場からの所得収支が増加するため、これらを総合した経常収支は黒字が保たれる。だからこれにより、直ちに円安に進むわけではないのですね。https://agora-web.jp/archives/230728090651.html

空洞化の問題は、第一に国内の雇用が失われるという点で、特に給与水準の高い、高生産性の企業が海外に軸足を移すと、我が国のGDPにマイナスの影響を生じる。また、現時点では、グローバル化した企業も、技術開発のベースとなる、グローバル・スタンダード・ラインを国内に保つなどしておりますが、海外技術者のレベルが上がれば、これも海外に移動するかもしれず、そうなれば、我が国の技術的優位も失われるという問題も生じます。

優秀な技術者が、日本から海外に出てしまうという問題と同様に、優秀な企業が日本から海外に出てしまう(日本企業ではなく、グローバル企業になる)というのは、日本にとっては大問題であるはずです。その原因が自国通貨高にあるのであれば、これを阻止するためには、極端な自国通貨高は防がなければいけない。これが常識的な結論というものではないでしょうか。

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