永江一石氏の6/19付けアゴラ記事「コロナの時に日本は金を撒かなかったから景気が悪い?」へのコメントです。
日本の景気の悪さが先進国の中では群を抜いているのは、「失われた30年」と呼ばれる現象で、1995年以来、我が国のGDPは全然成長せず、国民の給与総額もほぼフラットとなっております。
「失われた30年」の直接の原因は二つあり、一つは1985年のプラザ合意以降に生じた極端な円高(200~250円/$レベルから100~120円/$レベル)によるものでした。この当時妥当なドル円は165円/$程度と考えられていたのですが、150円/$を割って円高が進行してしまったのですね。この結果、国内の輸出産業は工場を海外に移し、下請け企業に倒産が相次いだ。これが「円高不況」と言われるもので、この対策として内需を増やすため、国債を増発して公共投資を拡大しました。
なぜこんな円高が放置されたか。一応、150円/$を割る円高進行を行き過ぎと考えた各国は、円高進行を止めるべくルーブル合意に至ったのですが、この合意に実効はなかったのですね。あるいは、日本を少々痛めつけようという考えがあったのかもしれませんが、その結果中国経済が急速に拡大したのは誤算であったということでしょう。
もう一つの問題が、1990年代から急速に進んだ「情報革命」に我が国は乗り遅れた。これは、新しい技術への対応を阻害しがちな我が国の雇用制度と変化を嫌う業界のあり方で、理系と文系に分かれ、しかも理系の比重がさほど高くない教育制度にも一つの原因がありました。
この問題は、情報革命を先導した米国が、GAFAに代表される情報産業をけん引役として急速な経済成長したことと対照的でした。情報革命への対応は、PCやソフトを買えばよいというものでもなく、これに対応したビジネスモデルへの変更が必要となる。社会制度の変革も必要となります。円高は、最近急速に、かつて妥当と考えられたレベルに戻しております。あとは、情報革命をモノにできる日本社会に変身していけば、何とかなるのではないかと思うのですが、できませんかねえ、、、
がんばれにっぽん