コンテンツへスキップ

要人暗殺の動機と対応について

篠田英朗氏の7/16付けアゴラ記事「トランプ前大統領暗殺未遂事件の余波:陰謀論の文脈と国際情勢への影響」へのコメントです。


昨日(7/15)の朝日新聞天声人語は、要人暗殺をたくらむベトナム帰還兵を主人公とした映画「タクシードライバー」が多くの若者に影響を与え、1981年のレーガン大統領暗殺未遂犯も、この映画の熱狂的ファンであったと記しております。同様の話はフレデリック・フォーサイスの著書「ジャッカルの日」(のちに映画化)でもあり、収監されたテロリストの多くが、この書物の差し入れを求めたりしております。

若年層が引き起こす事件の多くは、精神的な不安定さによるもので、神戸連続児童殺害事件の犯人の語った「透明なボク」にみられる自己喪失感が一つの原因でしょう。米国では、凶悪事件を起こした少年たちの多くが、その事件を伝える新聞の差し入れを求めたりもしております。

1980年のニューヨークで発生したジョンレノン暗殺事件では、犯人の動機は「有名になりたかったから」とされております。こんな、犯人一人にしか意味のない目的のために殺されてしまうのは、あんまりだとも思うのですが、要人や有名人を殺害すれば有名になり、歴史に足跡を残すことができる。おのれの存在感のなさを最大の問題と感じている人には、大いなる誘惑となっても不思議はないのですね。

トランプ氏を殺害したいと考える、(論理的には)正当な動機を持つ人が少なからずおられることは不思議ではありませんが、それ以外の動機を持つ人も山のようにいる。だから、この手の事件を防ぐためには、それが「なぜ」行われたのかを問うても(無意味ではないにせよ)致し方ない。

むしろここで問うべきは「いかにそれが可能であったか」であり、物理的にこれを防ぐことこそ、喫緊の課題であるように思われます。なにぶん、トランプ氏を嫌う人たちと同じように、岸田総理を嫌う人たちもたくさんおられる。有名になりたい人たちだって、そうそう少ないようには思われない。ここは、彼我ともに、きちんと対応していかなくてはなりません。

1 thoughts on “要人暗殺の動機と対応について

コメントは停止中です。