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日本の現実的エネルギー転換は

有馬純氏の9/3付けアゴラ記事「日本はAZECを通じて現実的なエネルギー転換論を主導せよ」へのコメントです。


水素やアンモニアの混焼は、たしかに当面のCO2放出削減に寄与するのですが、2050年といった相当な先に対応できるような、永続的な技術ではないことは理解しておかなくてはいけません。というのは、水素はもちろん、アンモニアの原料となる水素も、天然ガスを原料としており、21世紀の終わり頃には天然ガス資源の枯渇も現実的であるからなのですね。

一方、現在精力的に開発が進められている核融合発電は、2030年代に実証炉ができるはずですから、2050年にはかなりの規模での実用運転が行われている可能性が高い。こちらは、CO2も出さなければ、資源問題も少ない。さらには、放射性廃棄物もほとんど出ないという、理想的なエネルギー技術です。

我が国にとって核融合が好都合である点は、資源的制約をほとんど受けないという、我が国の弱みをカバーしてくれるほか、これに使うマイクロ波発射管で世界に先んじているほか、トリチウムやヘリウム3を効率的に製造可能な高エネルギー中性子照射設備を保有していること。さらには研究者の層も厚いという特徴があります。

まあ、ノーベル賞も絡む核融合実用化の先陣争いは、比較的容易なDT反応を利用するとしても、高エネルギー中性子が出ず、プラズマからのシンクロトロン放射を利用した直接電力取り出しが可能なD3He反応などを使う方式がより実用的であるはず。これらの技術をしっかりとものにしたうえで、当面の対応として水素やアンモニアの混焼技術で乗り切るのが正解ではないかと思います。

我が国はこの分野の研究では先行しているのですが、実用段階で海外に先を越されるのはこれまでもよくあったこと。エネルギー技術に関してはそのようなことのないよう、機先を制さなくてはいけません。

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