松田智氏の9/5付けアゴラ記事「SAF(持続可能な航空燃料)は本当に『持続可能』な燃料なのか?」へのコメントです。
B)の最後の5)は文字通り今流行のe-Fuelであるが、これは要するに水素を原料としてCO2を還元して炭化水素を作る試みであり、水素が安く大量に入手出来なければ実現できない。これもまた、メタン(CH4)などの気体燃料合成ならまだしも、FT合成で液体燃料製造となると投入エネルギーも大きくなるしコストも上がる。いずれにせよ、水素の入手可能性で大半が決まる。
FTは、現在の航空機燃料と同じ炭化水素が得られる点で優れているのですが、エネルギー消費が大きいという欠点があり、メタンは水素と炭酸ガスから容易に合成できる半面、液化が難しいという問題があります。アルコールであれば、発熱量は低下するのですが、合成が比較的容易で、液体燃料が得られるという利点があります。
これまでのところ、メタノールの合成は確立されたプロセスですが、エタノールはさほど一般的ではない。でも、それほど困難なプロセスではないはずで、将来の一つの道と考えられるでしょう。これを前提とするなら、現時点で、バイオエタノールを選ぶのは、賢いやり方であるように思われます。
これら広義のe-Fuelの前提は、いずれもグリーンな電力なり水素なりが得られることで、自然エネルギーでこれが可能ならいうことはないのですが、これは少々難しい。となれば、核融合なり、改良型原発などのCO2を排出しない発電手段をまず開発しなくてはいけません。
2030年と時期を切られてしまいますと核融合の実用化は難しいのですが、地球温暖化の問題はいつまでという絶対的な期限があるわけでもない。今できることは、核融合の実用化が少しでも早期に実現するよう、研究開発に資源を配分することではないかと思います。
すいそ