岡本裕明氏の12/15付けアゴラ記事「なぜ今、ギャンブルなのだろう?」へのコメントです。
ある確率論者が宝くじほど勝率が低いものはないと述べていたのですが、人間の心理とは確率論で示される合理性を必ずしも持ち合わせず、自分なりの理由をつける傾向があると考えています。
ギャンブルの勝率を、試行に対するリターンの期待値で論じれば、宝くじは50%程度で、競馬などのレースが90%程度であるのに対し、スロットマシンでは99%などの高確率をうたったものもあるのですが、じつはスロットマシンはほとんど勝てないという問題があります。
これは、スロットマシンのような短時間で結果の出るギャンブルは試行の回数が増える傾向にあるからでして、払い戻し率99%のマシンでも、毎度払い戻しをぜんぶつぎ込むという試行を100回繰り返すと、0.99^100=0.37ということになってしまう。しかも大数の法則というものがあって、試行回数が増えると結果は期待値に収れんするのですね。
競馬も、競馬場に行ったり、場外馬券売り場に張り付いて全レースに張る、などということをやりますと勝てる可能性は大いに下がってしまいます。競馬の場合に勝てるのは、重賞レースに限定して10倍くらいの払い戻しが期待できる中穴をねらうこと。そして、取ったらそれ以上は考えずに、キャッシュを掴んで別のところ(どことは言わない)に直行すること。
結局のところ、ギャンブルには必勝法が一つだけある。つまりそれは「勝ち逃げ」という奴で、勝って逃げられるだけの払い戻しのある目を狙うというのが、もう一つの条件になります。競馬は中穴狙い、スロットはジャックポットのある奴がこの条件に適合します。宝くじは、大当たりすれば確実に勝ち逃げすることになる。ジャンボ宝くじなどは、試行回数もごくわずかだし、悪くないギャンブルだと思いますよ。
返信がありました。
月野一郎
スロットの出球率は、台の設定によっては100% を超えるので、高設定台を判別することができれば勝てるはず。パチンコに関しても、いわゆるボーダーを越える釘の良い台を判別して打てば勝てるはずです。
現実的に、台の設定や釘の良し悪しを見分けて良い台だけに挑戦できるかどうかは、また別の話で、店側もしょっちゅう設定や釘回り等を変更するのでたやすい話ではありません。大数の法則にしたがって期待値に収束するほどの回数まで良い台を選び続けることは難しいでしょう。
瀬尾 雄三
月野一郎さん
> スロットの出球率は、台の設定によっては100% を超えるので、高設定台を判別することができれば勝てるはず。パチンコに関しても、いわゆるボーダーを越える釘の良い台を判別して打てば勝てるはずです。
実は、我が国の パチソコやスロットは、いわゆるプロには勝てるゲームであるようで、ずいぶんと昔の話ですけど、池袋のパチプロが消防車に責任のある事故で休業した際に大卒新入社員並みの所得を補償金として得たこともありました。
スロットは、「目押し」というテクニックがあって、これで結構な勝率が得られたとか。つまり、プロのギャンブラーが成り立つ世界ではあったわけです。ちなみに、ラスベガスのスロットマシンにもストップボタンはあるのですが、押しても何も反応しなかったような。
でも、世界はそれほど甘くはない。現在の我が国のパチソコ屋は、この手の稼げる道を封じているのでしょう。そもそも、コンピュータ制御の台で(トータルでは)勝たせてもらえるわけがないのですね。もちろん、勝たせてもらえる日もあれば負ける日もある。で、お金の出入りでは客の損だけど、遊ばせてもらった対価を含めれば、お客もトータルプラスということはある。ウィンウィンの関係です。
レジャーとしてのギャンブルは、楽しませてもらえばよいのですけど、そもそも人生はギャンブル。銀行レースに張るような人生もあれば大穴狙いの人生もある。これはこれで面白い世界ではあるのですね。まあ、ギャンブルの道を心得たものにとっては、ではあるのですが。
gayu