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あるべき日本のエネルギー政策

池田信夫氏の12/25付けアゴラ記事「第7次エネルギー基本計画は製造業を空洞化させる『自国窮乏化』の道」へのコメントです。


2040年というのは、微妙な時期ですね。と、言いますのは、ITERが2034年の運転開始を計画しているほか、米国やヨーロッパのベンチャーが推進中の核融合発電計画も2030年代の実用化を狙っているからです。

ITERで建設中の炉そのままでは実用化は難しいと思いますが、一つ動き出せばこれをモディファイすることはさほど困難ではなく、最初の核融合炉の運転開始から数年後、遅くとも10年後には、この技術は実用レベルに到達するのではないかと思います。

核融合発電のコスト構造は、ほとんどが設備コストで、燃料代はゼロに近いため、原発と同様、フル運転が前提となります。つまり、電力需要の低下する時間帯の電力をどうするかという問題が再び生じ、蓄電技術ないし、夜間電力の有効活用技術、が再び重要な課題となるはずです。

夜間電力が余るという問題を軽減してくれるのが昼間しか発電しない太陽光なのですが、コストの問題が依然残っていることは事実です。ただ、ソーラーセルのような製品は、経験学習効果というものがあり、累積生産量に応じてコストが下がる。資源エネルギー庁が2023年に発表した資料によれば、2012年に29-42万円/kWであったシステム費用が2023年には15-25万円/kWまで低下している。https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/091_01_00.pdf

実は、太陽光発電に補助金を出していたのは、累積生産量増加によるコストダウンを促進する狙いがあったのですが、ソーラーセルの生産は中国に偏り、我が国の補助金は彼らを潤すことになってしまった。かつてはソーラーセルの技術で、我が国は世界のトップレベルであったにもかかわらず、です。この手の話はハイテク分野のあちこちで見られる。このようなバカげたことをしないよう、技術の本質をつかみ、長期的な見通しを間違わないような政治的手立てが望まれるところです。

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