室中善博氏の1/12付けアゴラ記事「米国ワイオミング州の『Make CO2 Great Again』法案」へのコメントです。
この法案の基本的な立ち位置をまとめると:
・二酸化炭素(CO2)は地球上の生命にとって欠かせない存在であり、CO2がなければ植物は成長できず、植物がなければ生命は存続できない。科学者や農家も、高いCO2濃度が農業生産性を向上させることを認識している。
全くその通りなのですね。以前もご紹介しましたけど、農業環境技術研究所が1997年に発表した「地球温暖化による主要穀類栽培可能地分布と潜在生産力の変化」によれば、大気中の炭酸ガス濃度が2倍になると、以下が起こると予測されております。https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result14/result14_30.html
温暖化に伴い,北アメリカのコムギ栽培に適した気候条件の地域は北上すると予測された。また,ヨーロッパではコムギ,トウモロコシの栽培可能地は消滅し,中国では内陸部の栽培可能地が減少すると予測された。これらは降水量の減少による乾燥化によるものである。一方,中緯度の多雨地帯や低緯度地帯は,温暖化の影響を受けないか,あるいはむしろ良くなると予測された。
主要穀物生産国6ヶ国について,現在の穀物生産量(FAO)と温暖化前後における各国の栽培可能地の純一次生産力を表1に示す。 現在の穀物生産量と純一次生産力との比(潜在的生産可能性)をみた場合,温暖化に伴ってカナダとロシアでは6~9倍,中国では2.1倍になるのに対して, アメリカでは逆に30パーセント程度減少することが予測された。
温暖化は、人類にとっては福音ですが、米国の穀物生産量が減少しヨーロッパの小麦栽培可能地が消滅する一方で、ロシア、カナダ、中国の穀物生産量が増加するなどという未来は西側には受け入れがたいことは理解できます。ま、ワイオミング州に限って言えば、穀物生産量はもともと少ないので、石炭産業優先という主張もごもっとも、という気もするのですが、皆さん、自己中心派ですねえ、、、
kanrei