與那覇潤氏の1/14付けアゴラ記事「ポピュリズムを生むのは熱狂でなく絶望である」へのコメントです。
平成の日本を見ても、小泉純一郎内閣は「古い自民党」、第2次以降の安倍晋三内閣は「悪夢のような民主党政権」を仮想敵に、どんだけ問題あろうがあれよりはマシでしょ? なノリで例外的な長期政権を築いたわけで。ポピュリズムの裏側にはむしろ、ニヒリズムが貼りついていると捉えるべきだと、長らく思ってきました。
小泉内閣や安倍内閣は、ポピュリズムの正反対に位置しますよ。小泉政権は2001年から2006年までつづいたのですが、その間に構造改革が進み、2005年以降の3年間は、国債発行残高の増加がほぼ停止したのですね。https://news.yahoo.co.jp/articles/6452bbab6615f76a9991846f65ed3f840865f4cb/images/000
なお、2009年からは元の木阿弥になっていますが、2009年から2012年が、民主党政権時代であったことは覚えておきましょう。この時代、「コンクリートから人へ」を合言葉に、国債を発行しまくって、キャッシュをばんばん配りまくった。ポピュリストとは、どういう人たちのことを言うのでしょうか。
民主党政権時代に生じたもう一つの問題が1ドル80円を割り込むような極端な円高でした。このため、ドルベースの給与が上昇し、電機産業などの人件費比率の高い産業は軒並み赤字に陥り、海外への工場移転が進んだ。一方で、デフレが問題になるほど物価は下がり、日本経済の落ち込みをしり目に、消費者の多くは豊かになったのですね。
消費者が豊かになっても、国内の産業が軒並みダウンしては日本経済は成り立たない。この状況を救ったのがアベノミクスで、デフレ脱却を掲げて、為替を元の水準に戻した。これはデフレ脱却でもあるから、看板に嘘はないのですが、その結果、国内の輸出産業も一息付けたのですね。国民の多くを占める消費者には不評となるデフレ脱却を実行して日本を救った。このどこがポピュリストなのでしょうか。典型的なポピュリストとは、その前の民主党政権のことを言うのではないかと思いますが。
1/15:自己フォローです。
おもしろい資料がありましたのでご紹介しておきますね。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの出している「季刊 政策・経営研究」の2013年Vol.1の33頁(pdfは35頁)です。https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2023/04/201301_all1.pdf#page=35
無駄遣い根絶、行政刷新(事業仕分け)等による財源確保に努めたものの、2010年度予算は、国債収入が税収を上回る予算となってしまった。子ども手当をはじめ、高等学校授業料の実質無償化、農家戸別所得補償制度という施策等により、歳出が膨張してしまったためである。政権交代を果たした翌年の2010年7月に行われた参議院議員選挙時に出された民主党の「マニフェスト2010」には、消費税の税率5%を維持するという記載はなくなり、税制の抜本改革に関する協議を行うという記載がなされている。
上は、公約に反して消費税増税に踏み切った背景を解説した箇所ですが、その大きな理由として「子ども手当をはじめ、高等学校授業料の実質無償化、農家戸別所得補償制度という施策等により、歳出が膨張してしまったため」としております。早い話、盛大にバラマキをやりました、ということですね。
2011年度の国債発行に関しては、「2011年度の国債発行額は、2010年度発行額を上回らないよう、全力をあげます」としているのですが、2010年度で既に税収を上回る国債収入をあてにしているのですから、何をかいわんや、です。
まあ、税収に関しては、極端な円高により、民間企業が軒並み不調となったことも大いにマイナスとなっているのですが、こちらは自業自得というしかありません。まったく、何をやっていたのでしょうね。
ポピュリズムという言葉は、民衆の民意を政権側が拒絶するための言い訳に過ぎない。ポピュリズムと言っていれば、民意を無視していいと権力者やマスコミは考えている。
ポピュリズムは存在しない