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日銀の観測気球、評価は市場で

中村仁氏の1/19付けアゴラ記事「日銀副総裁がまたも守秘義務違反まがいの発言」へのコメントです。


日銀の金融政策は金融政策決定会合(今回は1月23、24日)で決めることになっているのに、それに先立ち氷見野・副総裁が追加利上げを示唆するような発言をしました(14日)。

これは、副総裁が独断で勝手に発言しているのではなく、日銀の戦略に基づく、計算しつくされた発言だと思いますよ。「口先介入」と呼ぶのは、今回適切ではないかもしれませんが、まあ、「観測気球」あたりが適切な用語かもしれません。

日銀がこうした慎重な姿勢に終始している背景には、8/5の混乱があったのではないかと思います。あの前回の利上げでは、小さな利上げの効果を最大限に発揮させるべく、サプライズを仕掛けた面がありました。その結果、市場は大きく混乱してしまったのですね。

あの時点でサプライズを仕掛けざるを得ない背景には、利上げによる円高を強く求める日本国内の世論があり、自民党の総裁選を控えた与党政府として、これを無視できないという事情もあったのでしょう。このあたりはよくわからない世界ではありますが、このサプライズの結果、利上げを求める声は小さくなった。一定の効果はあったわけです。

とはいっても、市場に混乱を与えたこと自体には強い批判があり、サプライズもほどほどに、と日銀は学習した。それが今回の、慎重の上にも慎重を期す日銀トップの発言だと思いますよ。まあ、それが正解かどうか、答え合わせはこの先のマーケットの動きを俟つしかないのですが。

1 thoughts on “日銀の観測気球、評価は市場で

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