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フジが消えても、誰も困らない

加藤文宏氏の1/25付けアゴラ記事「いったい誰が正義酔いの後始末をするのか:石破禍の発生原因とフジ問題」へのコメントです。


日本でもフジテレビに限らずキー局が、何らかの事情で電波での放送が行き詰まるなら、インターネットを使用したIP放送に伝達手段を変えるだろう。電波からの撤退は、むしろコストを圧縮する方便に利用されるかもしれない。
このとき大打撃を受けるのは、キー局発のコンテンツをそのまま放送する対価として支払われる電波料を失う地方局だ。電波料は地方局収入のうち三分の一程度を占めるため、フジテレビが電波から撤退すれば系列地方局28社の経営が成り立たなくなり、他のキー局と系列局の関係でも同じ事態が発生する。

これは本当でしょうか。このあたりの問題に関しては、猪熊建夫著「新聞・TVが消える日」を読むといろいろとわかってきます。まず、地方の放送局は、キー局なりこれと同一経営母体にある新聞社が政治家や官庁に働きかけて免許を取得しているということ。彼らは「波取り記者」などと呼ばれているのですね。そうやって、キー局は己のコンテンツを全国に流し、それに見合うCM料を得ている。

もう一つは、IP放送は現在のテレビ局にとっては最大のリスクで、TV放送のデジタル化に際しても、ネット経由の全国放送を最後まで嫌ったのはテレビ局自身なのですね。なにぶん、放送がネットに移行したら、県域免許制で押さえられていた競争が一挙に激化してしまいますから。

そもそも、地方のTV放送は、都市部ほどたくさんのチャンネルがあるわけではない。フジテレビがなくなったら、テレビ東京なりMXを流してもよいし、たぶん、キー局のどこかは地方局を押さえていない可能性も高いのですね。

まあだから、フジが放送から撤退する場合は、放送局の経営権を他社に譲るという形式をとるのではないでしょうか。そうやって、旧フジは不動産業に移行するか、不動産も手放して(たぶん二倍くらいに値上がりした)株の売却で得た金で悠々自適の生活をすればよい。そうしたところで、誰も損をしない。むしろ皆さん、大喜びだと思いますよ。

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