杉山大志氏の3/2付けアゴラ記事「都民は3000億円をかけて0.0003℃気温を下げて嬉しいのだろうか」へのコメントです。
私は、CO2排出削減の動きには批判的なのですが、それをわきに置いたうえで、このエントリーのレトリックにも少々問題ありと考えます。
と、言うのは、どこかの自治体だけがCO2排出削減をやったところで、どうなるわけでもないというのは、最初からわかり切った話で、だから、京都議定書なり、パリ協定などが出てきているわけですね。つまり、みんなでこうしましょう、というのが、そもそもの前提なのですね。だからそこで、俺一人がどうしたって変わらないではないか、といった主張には、何の意味もありません。
そういえば、こんな教訓話がありましたよね。みんなで葡萄酒を持ち寄ろうというときに、一人の男が、「俺一人が水をもっていったって、どうなるわけでもあるまい」と思って水をもっていった。で、全部合わせて飲んだところ、それは水だった、というお話です。つまり、みんなが同じことを考えた、というわけですね。
東京都の試みの効果を見積もるなら、東京都の試みに対して計算された効果だけを議論しちゃいけません。同じことを世界中がやったと仮定して見積もらなくてはいけないのですね。簡単には、東京都の効果に、世界人口80億人を東京都の人口1,400万人で割った値を掛け合れば、該数が出てくるはずです。
まあ、そうしたところで、実際のところでは大した効果になるわけでもないのですが、それはそれで置いておくと致しまして、このエントリーの話の持っていき方には問題がある。こんなことをやっていては、温暖化防止の主張を元気づけるだけです。そういう意味で、少々問題のある主張だと思います。
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