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「誰のせいやねん」といいたい

八幡和郎氏の3/20付けアゴラ記事「中国の発展は日本経済凋落の原因ではない」へのコメントです。


以下の引用部は正しい。因果関係が逆の「日本が没落したから中国が経済発展した」、あるいは共通原因による見かけ上の因果関係であって、中国のせいで日本が没落したわけではありませんでした。

中国が経済発展したせいで日本が没落したかのように語る人がいるが、そんな因果関係はない。

中国が急速に経済発展する前段階に、日本の工業力の異常な競争力増大がありました。これは、高品質低価格を可能とする製造技術、環境汚染抑制技術、そして省エネルギー技術があったのですね。この結果、我が国は世界中に集中豪雨的輸出をおこない、先進各国の経済を傾けてしまった。

これに対して1985年に円高によって日本の競争力を弱める、プラザ合意がなされ、1ドル250円付近であった為替レートが120円付近まで円高が進んだ。これは、当時妥当と考えられていた165円を通り越す、異常な円高だったのですね。

これでは日本国内の製造業は成り立たず、製造拠点の海外移転が急速に進みました。中でも大きな人口を抱える中国は、人件費が日本の1/10程度と安く、我が国企業は中国移転により利益を確保した。この一方で、中国は経済的に豊かになり、更には技術も(盗んだ、と言われることもあるくらい)習得する。その結果、中国独自の産業も大いに伸びた、というわけです。

極端な円高は、我が国にも大きな害を招きました。輸出産業が海外に移転する一方で、移転できない小企業は行き詰る。これを支えるため低金利とするとバブルが深刻化する。金利を上げてバブルを押さえると多くの国内企業が行き詰まり、就職氷河期などというものになる。そこだけ見れば、中国の発展が日本の没落を招いているようにも見えるけど、その原因は日本にあり、更には先進各国によるプラザ合意にあった、というわけ。いま中国産業の発展により多くの国が被害を受けたというけど、その原因は自らにあったのですね。ここでいうべき言葉は、「だれのせいやねん」以外になさそうです。

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