岡本裕明氏の3/22付けアゴラ記事「アメリカは本当に自給自足できるのか?:破綻するトランプ大統領の関税計画」へのコメントです。
自給自足という観点から見れば、米国は、かなり良いポジションにあります。まず、石油天然ガスの世界最大の産出国で、エネルギー資源には困らない。また、穀物生産量も中国に次いで第二位。これは、中国の2/3程度の生産量で、人口比を考えればこちらも余裕というところ。さらに農業機械の世界シェアも第一位。これだけあれば、さしあたり食うに困らないのですね。
たしかに、古い工業であります、鉄鋼、自動車、造船と言ったところでは、中国をはじめとするアジア勢に押されているのですが、現在急成長中の情報通信関連では圧倒的な伸び率となっております。これが可能であるのは、新しい産業への投資が活発な社会環境が整備されているからなのですね。
もう一つ米国が有利な点は、生産人口が多いこと。中南米からの若い労働力が流入している。技術者などの高度人材に関しても米国は吸引力がある。こうしてみれば、何もせずとも、米国経済は全然心配が要らない。
もちろん、先にあげました、鉄鋼、自動車、造船などのさびやすい産業は少々問題ありなのですが、この分野の将来性は情報電子産業に比べれば今一つ。米国が将来性の高い情報分野や、航空宇宙、エネルギー産業へと産業構造を移していけば、米国の未来はバラ色といってもよいでしょう。
ところが、好事魔多し。こういう良い状況をぶっ潰そうという人たちもいる。代表的な人物がトランプ大統領でして、縮小すべき産業に肩入れするあまり、米国の未来を担う産業に冷淡である。これは、米国にしてやられていたその他の国々にしたら大チャンスなのですね。ここは、トランプ氏を大いにおだててその政策に邁進させること。この一手だと思いますよ。
bara