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グローバリゼーション逆説の解

池田信夫氏の4/5付けアゴラ記事「トランプ関税の背景にある『グローバリゼーションの逆説』」へのコメントです。


同じ問題は、実は日本も抱えている。2010年代に起こった産業空洞化で、製造業はアジアに直接投資したので、国内の雇用は失われ、実質賃金が下がった。これが停滞の原因だが、安倍政権はそれを「デフレ」と取り違えて日銀がチープマネーをばらまいたが、それは海外投資され、空振りに終わった。

池田さんはこの主張を繰り返しされているのですが、2010年代の産業空洞化の主因は、1ドル80円を割る極端な円高であり、そのような円高が生じた原因は、2008年に発生したリーマンショックによる経済停滞に対して欧米各国が量的金融緩和に踏み切る一方、我が国の対応が遅れたことが最大の原因でした。

「デフレ」に関しては、たしかに、2009年から2011年までの我が国の物価上昇率はマイナスであり、デフレが生じていたことは確かです。そして、アベノミクスはデフレ脱却を掲げて大規模金融緩和に踏み切ったのですが、おそらく実際の狙いは円高の修正による国内経済の回復であり、為替操作を口にできない以上、デフレ脱却というしかなかったのではないかと推察しております。そして結果的には、この狙いは見事にあたり、国内経済は回復した。岸田時代まで通せば、バブル崩壊の痛手を乗り越えたともいえるでしょう。https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a1.pdf#page=2

グローバリゼーションによる国際分業の深化は避けられない。情報技術の飛躍的な進歩によって知識労働者と単純労働者の所得格差が拡大するスキルバイアス技術進歩(SBTC)は、先進国ではどこでも起こっている問題である。

安い労働力を求めて資本がアジアに移動する結果、新興国は豊かになるが、先進国の労働者は貧しくなる。このようなグローバリゼーションの逆説を逆転する方法は今回のような保護主義しかない。

これは全く正しい(「保護主義しかない」を除いて、ですが)。国際的に同一労働同一賃金になれば、先進国の単純労働者が割を食うのはやむを得ない。これに対する解は、先進国国内の所得平準化制度、全国民がハイスキル人材を目指すこと。さもなくば、全世界の労働者が豊かになることでしかない。世界を分断しても、生産効率が悪化して、結局は貧困になってしまうのですね。無駄な抵抗は止めたほうが良い。そういうことです。

1 thoughts on “グローバリゼーション逆説の解

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