Shen氏の4/15付けアゴラ記事「ペンギン、合従、コミュ力、忠誠」へのコメントです。
USTRは相互関税の数字が「米国の貿易赤字額 / 米国の輸入額」に比例することを認めたが、εだのφだのとグリークを駆使して本当はもう少しもっともらしい計算だったと解説している。その弾性値を適当に代入したのが明らかであるためまた嘲笑を呼んだ。
この点は、たしかに、今回のトランプ関税騒動で大笑いするところなのでしょうけど、そもそも、貿易赤字額という、『結果』を平等にせよという発想が間違っている。少なくとも、自由主義にも市場経済の原則にも反していることに気付かなくてはいけません。
(ブログ追記:貿易赤字額をもって「他国がずるをしている」との主張が成り立つには、米国製品は貿易相手国の製品と同等ないしこれよりも優れていることが前提になるのですね。そしてその前提が、論証以前に成り立っていると考えるのは、ある種の人種的優越性を自覚しているからではないかな? つまり、トランプ氏なりその支持者の思想の根底には、根強い差別主義、白人優越主義が存在すると疑われます。この疑惑に関しては、徹底した解明が待たれるところです。)
そしてさらには、その「貿易赤字額」なるものが、本当に問題なのかどうか、もしも問題であるとすれば、いかにして問題になるのかという、その点を検討することも必要でしょう。と、言いますのは、米国経済は絶好調であり、他の先進国の停滞をしり目にGDPは急成長している。これを追っているのは中国くらいしかないのですね。
GDPが急成長しているということは、巨額のマネーが米国で生み出されているということ。これを米国一国から得ているわけもなく、このお金は世界から集めているはずなのですね。その一方で貿易赤字が問題だという。稼いだお金はいったいどこに行ってしまったのかという点が大いなる謎であるわけです。まさか、タックスヘイブンに積み上げていて、見えないだけではないでしょうね。
もう一つの問題は、米国の一人当たりのGDPも急速に拡大している一方で、経済的な困難を抱えている人も多い。つまり、ラストベルトの人たちは困窮しているのですね。これすなわち、稼いだお金が一部の人たちにとどまっているということを意味します。これに対して米国が打つべき手は、国民所得の平準化の措置であり、累進課税の強化と社会福祉の充実こそ、米国がなすべき政策であるように思われます。トランプ氏、攻めるべき敵を間違えているのではないでしょうか。
かんせい