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石破氏、トランプ氏を諭すの図

池田信夫氏の4/16付けアゴラ記事「アメリカを『再工業化』するベッセント財務長官の戦略は成功するのか」へのコメントです。(2/17:追記しました)


何を考えているやら。

・製造業の回帰による再工業化

・ドル高是正と通貨協調

・安全保障の応分負担

最後の「安全保障の応分負担」というのは納得のいく話です。でも、そもそも日本の軍拡を抑制したいと考えたのは、米国をはじめとする旧連合国側だったのですね。日本に軍拡せよというなら、これに喜んで応じようという勢力は、日本に根強いと思いますよ。少なくとも、高市さんは、そういいそうなお一人です。

二番目のドル高は、世界経済で米国が独り勝ち状態になっている以上、あたり前の話でしょう。それ以前に「通貨協調」の『協調』って、この方、意味わかっているのでしょうか。また、少なくともドル円に関しては、失われた30年を絶賛延長中の日本に対して、GAFAに代表される情報サービスがけん引する米国のGDPの伸びは、好対照を示しております。ドル円がドル高に傾くのはあたりまえの話。このグラフ、トランプ氏は見たことがないのでしょうか。


そして一番目の「製造業の回帰による再工業化」も、既により進歩した情報サービス業花盛りの米国の現状からみれば、退化したいと言っているような話です。どうしてもそうしたいというなら、米国の情報サービス業を禁止することから始めなくてはいけない。こんなところが大いにお金を稼いでしまったら、たいして稼げない『工業』など、人材にも資金にもそっぽを向かれ、発展できる訳もない。そういう話を石破氏がトランプ氏にこんこんと諭せば、まあ、トランプ氏、1分以内に会話を終了するだろうなあ…


本件に関して、武者リサーチのレポートが出ておりますね。4/1付けというところが気になりますけど、たぶん大丈夫でしょう。

結局のところ、サービス収支で大幅黒字を出しているのですが、貿易収支の巨額の赤字をカバーするほどではない、ということです。

そしてこの貿易収支の赤字は、ほとんどが対中国の赤字ということで、中国に対して高い関税をかけることは妥当な政策と言えそうです。

図表10の相手国名が明記されていないのですが、次の記述から、およその対応関係はわかるでしょう。

2018年以降の対中制裁は全く効果がなかった。図表10に見るように米国の対中貿易赤字は減少したものの、対メキシコ、対ベトナムなどへの赤字が急増したが、その相当部分は中国企業の現地化及び中国で生産委託をしていた米国企業による迂回輸出であった可能性がある。中国は対ASEAN向けの部品等の輸出増加で対米輸出の減少を相当程度カバーできた。

と、いうわけで、米国が中国及びその迂回輸出国からの輸入に対して関税を課すことは妥当な政策と言えそうです。ただ、その他の国々に関しても関税をかけることは、フェアなやり方と言えず、国際協調で中国を孤立化させるという方向にも逆行し、むしろ中国が周辺国を取りこむ動きを助けてしまいます。

ここは、トランプ氏の選択すべきは、中国以外の関税は(中国の迂回輸出を除き)元に戻す、というのが正解なのではないでしょうか。

2 thoughts on “石破氏、トランプ氏を諭すの図

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