中村祐輔氏の5/16付けアゴラ記事「トランプ大統領の重大発表は薬価の引き下げ?!」へのコメントです。
本論からは外れておりますが、以下の部分はその通りだと思います。
ハンバーガーの価格も、同じ製品でも(同じ原材料ではないが)、2024年10月のデータでは、ビックマック一つ当たりの価格の1位のスイスでは1214円、5位のユーロ圏912円、7位のアメリカ856円、15位サウジアラビア762円と続き、日本は44位の480円と報告されており、韓国(601円)、タイ(570円)、中国(531円)より安くなっている。豊かな日本は幻想だ。また、54位の台湾(343円)とスイスは3.5倍の差がある。
ハンバーガー価格が安いことは、豊かさを意味するか、貧しさを意味するか、という問題ですね。このエントリーは、貧しさを意味するとしているのですが、これが普通の考え方だと思います。
逆に、ハンバーガー価格が安いということは、為替レートで見た豊かさよりも、はるかに豊かである、という考え方もあります。これは「購買力平価(PPP)」という考え方で、その一つである「ビッグマック指数」は、ビッグマックで貨幣価値を評価しようというもの。この場合、ハンバーガーが安ければ、それだけ通貨の購買力は高くなるのですね。
具体的には、PPPで評価すると1ドルは90円ほどといわれています。現在の為替レートは145円程度ですから、円の価値は名目上の値よりも1.6倍程度高く評価しなくちゃいけない。日本の一人当たりGDP$32,500は、1.6倍すれば$52,000となって、台湾に次ぐ38位からイギリスに次ぐ23位に、一挙15位のランクアップとなります。他の国のGDPはPPPによる評価替えをしない、とした場合の数字ですが。
PPPは、物の価値が世界共通であることを前提としているのですが、実際にはそうではない。日本では、小麦も牛肉も、国際市場価格よりは多少高くなっているのですが、それでハンバーガーが安いということは、コストの大きな割合を占める人件費が安い、ということですね。これって、一人当たりGDPで負けているのと同じコインの裏表。ここは、本エントリーのような素直な感覚が正しく、一部経済学者のPPP重視は間違い、というのが、どうやら実態に即しているようです。