黒坂岳央氏の6/17付けアゴラ記事「やる気が出ないとやらない人、必要だからやる人」へのコメントです。
このエントリーを読んで思い出したのが、マイケル・マコビー著「ゲームズマン―新しいビジネスエリート」の一冊。これ、1978年と古い書物なのですが、現在の世界情勢にもよくあてはまる、面白い書物であると言えます。同書の主張を受け入れると、このエントリーは、ちょっと外しているように思えたのですね。
同書は、人間を「ジャングルファイター」、「クラフツマン」、「カンパニーマン」、「ゲームズマン」という4つのタイプに分類し、その中でも「ゲームズマン」と名付けられたタイプの企業人が、今日の企業指導者たるに最も適した資質をもっているといたします。
ジャングルファイターとは権力志向が強く、周囲を敵とみなして戦う人で、トランプ、プーチン、ネタニヤフ、習近平、金正恩の各氏をはじめとする世界のリーダたちがそろってこのタイプであることがちょっと問題。幸か不幸か、日本は外れているようですが。
クラフツマンは職人、カンパニーマンはいわゆるサラリーマンで上司への忠誠心で仕事をする。これに対して、ゲームズマンは仕事をゲームのように楽しみ成功の喜びを味わう人で、こういう人が多い企業が成功すると、マコピー氏は主張します。もちろんそうするためには、リーダーの資質が重要で、チームをそのように引っ張っていくことがカギになるのですね。
たしかに、忠誠心を中心とする組織は衰退する。日本の多くの企業や官庁が、上層部を占める古い人たちに過度に従い新しい変化に対応できなかったことは、カンパニーマンの弊害でしょう。クラフツマンは良い仕事をするのですが、小さくまとまって利益を拡大しない。そういう意味で、今後の日本の指針を考える上で、同書は良い参考になると思います。
返信がついております。
岡本 真行
おっしゃるお話の枠組みですと、ジャングルファイターとゲームズマンは、日本では就職活動の時点で、面接でその性質を見せる限りは、どこの企業でも採用してもらえずキバを抜かれてしまうのではと考えました。
人事の立場でいいますと、会社に個人の立場から「自分と関わった場合の未来を提案」してくるような人間がそれだと思いますが、日本人的な感性では「自己をエゴの形で主張する人間は共同体の成員として相応しくない」と、無意識で思われてしまいやすい。
就活を通して、ジャングルファイターは「組織内に入り込みつつ憂さ晴らしで下位の者をいびる人」に方向転換を余儀なくされ、ゲームズマンは「自分の素を出さないよう腐心して、ときおり弾かれながら小さく落ち着く所に落ち着く」となってしまうのではと。
そうなると日本は、グローバリズムの時代でタイタニック号となるしかないですが。
瀬尾 雄三
岡本 真行さん
> おっしゃるお話の枠組みですと、ジャングルファイターとゲームズマンは、日本では就職活動の時点で、面接でその性質を見せる限りは、どこの企業でも採用してもらえずキバを抜かれてしまうのではと考えました。
ジャングルファイターやゲームズマンは、就職活動の時点では素を出さず、前者はカンパニーマンとして、後者はクラフトマンとして採用されるのではないでしょうか。
で、見かけは従順なサラリーマンも、立場が上がるにしたがってジャングルファイターの牙を見せる。下に厳しくても上には従順に徹して昇進し、上り詰めたところで100%のジャングルファイターになるのですね。
一方のクラフトマンの衣を被ったゲームズマンは、専門知識をアピールして就職試験を突破するけど、仕事をする過程で、だんだんと専門範囲を拡大し、他の専門家ともうまくやることで仕事をゲームに変えていく。まあ、そういうプロセスをたどるということだと思います。
そうなりますと、従順なサラリーマンが一番危ない。こういう人は、少なくとも、一定以上のポジションには付けてはいけない、ということですね。まあ、ネコをかぶっているのでなければよいのですけど。
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