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日本は『潜在的核保有国』です

永江一石氏の8/20付けアゴラ記事「核兵器保有なんて論議するのは無意味のワケ」へのコメントです。


日本は、世界からは「潜在的核保有国」つまり、その気になればいつでも核兵器を保有できる国とみられております。この状況はさほど悪いものでもなく、我が国はこの立場を維持することが肝要かと思います。

そもそも、米国のマンハッタン計画にしてからが、1942年10月のプロジェクト承認から1945年8月の広島への原爆投下まで3年足らずの期間しか必要としておりません。当時はほとんどゼロから始めたのですが、今日では、核技術のおよそのところは専門家であればすでに理解しており、プルトニウムが存在し、コンピュータシミュレーションも可能で、金属の精密加工可能なNC工作機械も存在している。おそらくは、プロジェクト開始後1年以内に最初の核兵器使用が可能となるでしょう。極秘裏に準備を進めていたら、3月くらいでできるかもしれません。

面白い点として、山田克哉さんの書かれた「日本は原子爆弾をつくれるのか」という書物があるのですが、山田氏の基本的スタンスは、「日本には原子爆弾は作れない」であるにもかかわらず、核兵器の個々の技術について書いているうちに、至極簡単に核弾頭が作れることに気づき、愕然とされているように私には思われました。(参考

何分、兵器級プルトニウムはもんじゅの使用済み燃料から取れます。現在、もんじゅは停止しておりますが、再開発は不可能ではないし、大洗の常陽でもできるのではないかと思います。爆縮技術は、爆発接合という形で、旭化成延岡工場でさんざんやっておりました。日本はレンズ設計技術に優れ、爆縮レンズの設計も可能。複雑な曲面に金属加工する装置は、東芝機械が以前ロシアに輸出したとして問題になったりしております。

問題は、国民的合意ですけど、真に核兵器を使わざるを得ない状況下に置かれたら、国民的合意も得られるだろうし、法改正もなされるはず。既に必要な技術も原料(使用済み核燃料)もすべて、我が国は保有しております。「潜在的核保有国」悪くないポジションだと思いますよ。


上は、時間のないところでチャチャッと書いてしまいましたので、少々補足しておきます。

まず、日本にとってベストな道は、潜在的核保有国の地位を守って、現実には他国の核の傘に『安価に』入れてもらうことです。これが、自力で核兵器を持つよりも高くつくようであれば、自主独立の道を考えなくてはいけない。もう一つの前提は、いずれかの国が我が国に、核の恫喝をかけてくること。これに、国際社会が冷淡であれば、自力で何とかするしかありません。

永江氏のエントリーでは、巨大な核弾頭が示されておりますが、現在は小型化が進んでおり、1956年時点ですでに開発されていた、二点起爆型の簡素な核弾頭「スワン」は、直径30cm弱、長さ58cm、重量50kgで、重水素とトリチウムを内部に充填して核融合反応を併用することでTNT火薬15kT相当の爆発力を持ちます。

運搬手段としては、12式地対艦誘導弾能力向上型があり、外形35cm、射程900~1500 kmで、炸薬量は100kg以上と推定されており、スワンタイプの核弾頭を北九州から北京に打ち込むこともできそうです。

ただし、我が国が核兵器を開発すれば、ウランの禁輸を食らう恐れがあります。我が国がこれに耐えられるようにするためには、事前に、使用済み核燃料である放射性廃棄物を燃料にできる高速炉を実用化しておくこと、望ましくは核融合を実用投入しておくことが理想的です。これらは、核兵器保有の有無にかかわらず、我が国としてはしなくてはならないこと。技術屋さんがやるべきことをやる。これで道は開けるはずです。

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