室中善博氏の8/21付けアゴラ記事「風力発電と太陽光発電は『電気』しか作れない」へのコメントです。
風力発電や太陽光発電は電気しか生み出さない。その通りです。さらに言えば、原発や核融合も電気しか生み出さない。まあ、意地悪な言い方をすれば、原発は放射性廃棄物も生み出しますが、この話は置いておきましょう。
このエントリーの趣旨は、化石エネルギー資源は、エネルギー以外に、「炭素資源」という役割も果たしている、という点でしょう。その意味は、性急に炭素資源の利用を取りやめるヨーロッパなどでみられた動きが愚かなことであるということで、この点には私も同意しますけど、いずれにせよこれらの資源は枯渇する、ということも考えておかなくてはいけないのですね。
石油天然ガスが約50年後、石炭がおよそ130年後に枯渇するといわれております。これは、現在知られたこれら資源の埋蔵量と、現在の消費ペースを前提としており、新たな資源の発見も期待できる一方で、発展途上国の工業化が進めば消費量が爆発的に増大することも考えられ、後者の場合、これら予想よりもはるかに近い未来に、炭素資源が枯渇してしまいます。
ただし、炭素資源は地下資源だけではない。一つは、植物が空気中の炭酸ガスを固定している。これらは、食料や木材、紙などとして人々が現在も利用し、廃棄しております。ごみ焼却場の排気中の炭酸ガスを回収すれば、無尽蔵の炭素資源となります。もう一つは、海中に360ppm溶解している炭酸ガスを利用する手で、海水を利用した冷却施設などでこれを回収することが考えられます。
エネルギー(電気でもOK)が得られるなら、水を電気分解して水素を作り、炭酸ガスをこれと反応させてメタン(天然ガスの主成分)を作ることができます。これからアルコールを作れば、ガソリンとほぼ同じに使えますし、エタノールを作っておけば、エチレンも簡単に作れます。これらの背景がありますので、さしあたり、エネルギーをどうするかが、多くの人の関心ごととなっているのではないでしょうか。
水素