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80兆円と『信義誠実の原則』

アゴラ編集部の9/10付けアゴラ記事「米国に80兆円プレゼントした赤沢大臣『交渉で米国押し切った』と豪語」へのコメントです。


注意しなくてはいけない点は、この80兆円はあくまで「投資」であり、「プレゼント」などではない。日本側にも後者の見方があることは、厳に気を付けなくてはいけません。

トランプ氏がそういう雰囲気をあおっていることは事実ですけど、こういう解釈がトランプ氏にとって都合の良い解釈だからなのですね。

確かに、合意事項を見れば、いかなる投資をするかは(リストの中からではあるけれど)トランプ氏に選択の自由がある。だけど、投資には、一定の利益が期待される必要があり、最初から利益の上がらない投資を無理強いすることは基本的にできないのですね。最初から利益の上がらない投資話を、普通の言葉では『詐欺』と言います。

「契約は守られなくてはいけない」という原則はローマ法以来の常識的原則なのですが、ローマ法にはもう一つ「信義誠実の原則」があり、契約の当事者には信義誠実義務が要求される。この考え方は、ドイツフランスなどの大陸法系諸国に根強かったのですが、近年では英米法系諸国でも当然視され、判例も多々出ております。https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/81008690/81008690.pdf#page=37

米国大統領が適切な利益の期待される投資話を日本に持ち掛けてくれるということは、それほど悪い話ではない。実は我が国は、適切な投資口が見つからず余っている資金がふんだんにある。それが怪しげな投資話であれば、事前の日米協議で拒否するか、米政府による保証を要求すればよい。当然のことを当然のように実行すれば、この投資話、日本にとってもそれほど悪い話ではないように思えるのですが、どうでしょうか。

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