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直流給電は火力発電も救います

尾瀬原清冽氏の9/18付けアゴラ記事「2050年8,300万kW不足の衝撃:火力新設が止まり揺らぐ電力供給」へのコメントです。


2050年になりますと、そろそろ核融合発電の実用化も期待される頃合いで、そのコストがどうなるか、出力調整機能はあるのかといった点が注目されますが、現時点では原発同様、フル運転で設備コストを最小とすることが現実的ではないかと思われます。

そうなりますと、出力一定の原発・核融合発電と、出力が勝手に動く自然エネルギー、そして出力調整が可能な火力・水力・蓄電の三種類の電源に頼ることになるのですが、出力調整という機能をいかに経済的に評価するかが課題となります。

最もフェアな電気代の値決めシステムは、株式市場のように、時々刻々変化する価格で電力を取引することですけど、各関係者の電力系統への給電や受電を時々刻々変化させることは、交流送電では致命的な結果を招きかねない。直流送電が前提となります。その具体的システムが課題となるわけですね。

最も簡単な方法は、電力の需要者と供給者それぞれを直流電力網で結び、ここに出入りする電力量で課金・支払いを行うことです。需給調整の最も簡単な方法は電圧で行うこと。600Vを標準とするなら、500Vに低下したときの電力単価を10倍とし、700Vに上昇したときの電力単価を1/10にする。これを外れた際には、新規の受電給電ができないようにし、電圧がこの間にあるときは、対数的に電力単価を値決めする。こうすれば、電力供給量を自在に決められる業者は、燃料代をにらみながら、最も利益を生む発電量とすればよいし、蓄電システムで一儲けをたくらむ人も出てくるはずなのですね。

直流給電と交流給電のいずれが優れているかは19世紀の終わりにエジソンとテスラが論争し、交流給電を推したテスラの勝利に終わっております。しかしそれから100年以上を経過し、半導体技術や磁性材料で格段の進歩を遂げた今、状況は完全に変わっているのですね。こうした新しい技術を積極的にモノにし、社会的に有効活用すること。それが今日の電力関係者にも求められているのではないかと思います。少なくとも、情報関連ビジネスのように、これら新しい分野を海外に席巻されることだけは避けていただきたいものだと、強く願う次第です。

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