岡本裕明氏の10/14付けアゴラ記事「なぜ変わらない日本の政治:高市早苗氏が苦戦しているわけ」へのコメントです。
日本人は人口の数と同じぐらいある思想の中で一定の均衡を保っています。それは政策を主導する与党と文句ばかり言う野党の関係の中でも日々の生活はとりあえずどうにかなっているという絶妙のバランスがそこに存在しているとも言えます。ところが主導者が変わり、「はい、今日からはこうなります」と言わると10中8,9、反発が来るのです。高市さんはそこを甘く見たのだと思います。
甘く見たというか、そのような文化に反旗を翻したのかの、いずれかでしょうね。まあ、結果は同じなのですが、このようなやり方は悪くない。
ステータス・クオ・バイアス、つまり現状を肯定するというバイアスが、人間の思考には強く作用しているのですが、この「絶妙のバランス」とは、いわゆる『空気』であって、いかなる重要な会議であっても、人々はその場の空気に支配されて決定を下し、その決定に誰一人として責任を取らない、というのが日本の悪しき伝統なのですね。これを肯定したりしちゃ、いけません。
悪しき伝統を甘く見る。これは否定されるべきことでしょうか。言葉を換えれば、悪しき伝統を否定した、無視した、ということですね。これは大変に勇気のいることだし、まさにそうすることによってしか、この国を変えることはできない。あっぱれ、というべきではないかな。
「地位が人を作る」という言葉もあります。高市氏の『地位』は『自民党総裁』。これは、何人たりと言えどもゆるがせにはできない。これを否定したら、自民党自体を否定することになる。高市氏は、自らの置かれた立場に自信を持てばよい。そして己が正しいと考えることを行うこと。そうして初めて、自民党総裁という地位が高市総裁という人を作る。これを忘れちゃいけません。