中村仁氏の12/21付けアゴラ記事「日銀はインフレ・円安抑制、高市政権は財政膨張策というチグハグさで円安進む」へのコメントです。
いくつかの点を指摘しておきます。
まず、日銀は日本を「金利のある世界」にしたいと考えているということ。ゼロ金利では、景気のコントロールができないのですね。このため、機会をとらえては、少しずつ金利引き上げに動く。これが日銀の政策の基調にあります。しかし、これが可能な条件は、日本国内の産業が強いこと。金利に耐えるだけの利益を生む構造にしなくてはいけない。
これに必要なのがアベノミクスで不十分に終わってしまった「第三の矢」、成長戦略なのですね。具体的には、分野を絞った政府による後押しです。日本は過去に何度も成功を収めております。古くは石炭・鉄鋼への「傾斜政策」に始まり、重化学工業、半導体など、多くの分野で成功を収めております。MITI(通産省)は米国産業政策のロールモデルになったりもしております。
第二に、日本政府の政策の基本にあるのが、財政バランスさせて国債発行残高の上昇を抑えることで、出ずるを制すればこれは可能になる。しかし国民生活を犠牲にすれば、不満が高まる。ポピュリスト政権に交代するとすべてが振出しに戻る。これが小泉行財政改革から民主党政権に至る一連の流れで、その反省の上に、その後の自民党政権の政策があるのでしょう。だから、支出の絞り込みと、支出の拡大が同時に行われる。政治は、経済指標だけではない。国民の困窮度合いにも目を向けなければいけないのですね。https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
その他、先日も書きましたけど、円相場は日本の政策だけで動いているわけではない。米国の金融政策に大きな影響を受けておりますし、世界経済の動きも反映している。あたりまえの話だけど、日本がすべてを決めているわけではないのですね。https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/21c53a7c09632b1a41f7c9fb45f36178832230b2