岡本裕明氏の12/23付けアゴラ記事「インフレがある世界、金利がある世界」へのコメントです。
私は黒田氏が日銀総裁の時は強い違和感を持っていました。超低金利(あるいはマイナス金利)にして市場にじゃぶじゃぶの資金を投下するという考えであります。
これは、日本だけ特別なことをやった、というわけではないのですね。黒田日銀総裁以前は、日本だけ「市場にじゃぶじゃぶの資金を投下する」ことをしなかったのでした。その結果、1ドルが80円を割る超円高となり、しかもそれが2年ほど続いてしまった。このため、日本の輸出産業は成り立たず、海外への工場逃避が相次いだのですね。
アベノミクスの第一の矢「大胆な金融政策」は、いわゆる「量的金融緩和」ですが、似たようなことは米国FRBもやっていた。つまり彼らが推進した「QE II」は「Quantita-tive Easing 2」の略で、日本語に訳せば「量的緩和第二弾」です。アベノミクスの第一の矢は、日本独自のものでも何でもない、横並びにしたというだけの話でした。
もちろん、為替操作はご法度とされておりますから、安倍氏も日銀も「極端な円高に終止符を打つ」なんてことは言えません。「デフレ脱却と経済成長」なんて言っていたのですが、本音と建前が違うなんてことはよくある話。皆さんもちゃんとわかっていたと思いますよ。
アベノミクスの第一の矢は大成功をおさめ、空洞化の動きにブレーキを掛け、貿易赤字の拡大も止まって、プラスマイナスゼロくらいまでは回復した。でも、以前続いていた大幅な貿易黒字にまでは回復しない。これには第三の矢「成長戦略」が功を奏することが必要だったのですが、さすがにこれはそんな簡単な話ではありません。今後の課題ということになっております。
