まず、ニューロンは全てが興奮しているわけではないということを忘れていました。「てんかん」という病気は、多数のニューロンが興奮することで起こるんだそうです。もしも、ニューロンの1%だけが興奮しているなら、計算も1%で良いことになり、10 年も待つ必要はありません。つまり、最初に書いたとおりの話で良いわけです。
もう一つの問題は、ニューロン間の情報伝達です。同じボードにあるニューロン間であれば、メモリーを書き換えることで、簡単に信号を伝えることができます。異なるボードにあるニューロンに信号を伝えるためには、適当なインターフェースが必要です。
異なるボード間の情報伝達には時間が掛りますので、密に結合したニューロンは同じボードに収めたいところです。しかし、一つのボードで興奮しているニューロンが増えると、CPU の処理に問題を起します。結局のところ、ニューロンはボード間に散らして置いて、通信速度を速くすべきなんでしょう。
ところで、十万ものボードを一つのケーブルに接続すると、通信がボトルネックになってしまいます。この問題を解決するうまいやり方は、ボードをマトリックス状に接続することでしょう。例えば百枚のボードを二次元マトリックスに接続するのであれば、ボードを十段十列に並べ、それぞれの列と、それぞれの段を、縦糸と横糸のように通信ケーブル(全部で 20 本)で接続すれば良いわけです。そうすれば、全部で百のボードがあっても、一つのケーブルには十のボードしか接続しなくて良いことになります。
1段2列のボードを12番のボードと呼ぶとき、12番のボードと、例えば89番のボードは、縦糸も横糸も共有していないため、直接通信することができません。こういうときは、19番のボードか、82番のボードに中継してもらうことになります。どちらのボードに中継してもらうかは、暇そうなボードにお願いすることになるでしょう。
十万枚のボードを五次元の格子状に接続する場合、それぞれのケーブルには十枚のボードが接続されます。この場合、ケーブルの本数は5万本という、半端ではない数になります。
ボードの番号は、こんどは5桁の十進数で表現されます。
さて、12345番のボードから56789番のボードに信号を送るには、どのように中継すれば良いでしょうか。
これは、次のように考えればルートを選ぶことができるでしょう。まず、12345番のボードは、どれかの桁を、56789の該当する桁の数字と置き換えたボードに中継を依頼します。
例えば、52345番のボードに依頼したとします。52345番のボードは、一致している1桁目(5)以外の数字を相手先の該当する桁の数字と置き換えたボードに中継を依頼します。
例えば、56345番のボードですね。これを次々と行うことで、一致していない数字が1桁しかないボードに辿りつくというわけです。勿論、中継してもらうボードを選ぶ際は、可能なボードの内、最も手すきのボードを選ぶべきですね。
面白い頭の体操でしたけど、この話題はひとまずこれでお仕舞いとします。