株などをやっていると、本当にそう思います。
最近、50円以下の安い株に投資することが、一種のブームになっているんですけど、先日、セザールという不動産会社が潰れ、その株は、ただの紙切れになりました。株価が安ければ、損失も少ないと思われるかもしれませんが、その分、大量に買い込む人がいて、ヤフーのセザールのボードには悲鳴が渦巻いていました。
サイゼリヤというイタリアンレストラン、最近流行っているんですけど、ミートボールを食べた人が病院に担ぎ込まれたということで、株価は、ストップ安になってしまいました。これも、株を持っている人には、悲劇ですね。
そんな特殊事情以外でも、最近は、イラクの戦況に一喜一憂して、株価は大きく上下しています。
先が読めないこと、これを「不確実性」と言います。「不確実性の時代」なんて本が、昔、ベストセラーになっていましたね。ビジネスは先が読めない中で行いますので、リスク(失敗する危険)が生じます。火災や天災などの偶発的リスクに対しては、保険を掛けて、リスクを回避することもできます。しかし、ある製品が売れるかどうかといった、ビジネスの根幹にかかわるリスクは、会社はこれを「テイク(リスクを負うこと)」することになります。「ビジネスの本質はリスクをテイクすることである」とも言われています。
これに良く似た言葉をファインマンが書いています。「研究開発の本質は不確実性である」ってね。わからないことを調べるから研究なんであって、わかっていることは研究する意味がありませんよね。
それでは、「不確実性を減らすもの」って、なんでしょうか。実はこれ、「情報」の定義なんですね。
研究開発は、情報を得ることが目的、というわけです。ビジネスのリスクを減らすためには、情報を集めなければなりません。
そういえば、イラクの米軍も、情報ネットワークが目玉ですね。それがあるから、「まったく新しい戦争」なんて言ってるわけです。まあ、セールストークに騙されているんじゃなければ良いんですけどね。
最近、問題になっている「時価会計」も、投資家に正しい情報を提供することを目的としています。実は私、今日、日立の株を買ったんですけど、この会社、みずほ、その他の銀行株を何百億円も保有しています。で、帳簿上のみずほ株の価格は30万円となっているんですね。市場では10万円以下なのにね。財務指標の一株純資産は、会社を清算したときに、一株あたりに残る価値であるはずで、その株価に対する比率は、普通は1以上になるはずですけど、日立は0.7倍と、1以下になっています。だけど、その資産の評価、みずほ株を30万円で評価して計算されているんですね。そういえば、無価値になったセザール株も、一株あたりの純資産は120円となっていました。こんな指標は、ぜんぜんアテになりません。きちんと時価評価をしないと、日本の企業は信頼を失ってしまいます。
ところで、千と千尋がアカデミー賞を受賞して、日本のアニメ会社が注目を集めていますが、こちらのPBR、たとえばトムス・エンタテイメントは1.4倍ほどになっています。しかし、この資産評価には、会社が保有するアニメの版権は、正確には反映されていません。これは、会計が「貨幣で評価」するための技術上の限界で、やむをえないことともいえます。時価会計の有無にかかわらず、企業を評価する場合は、会計データに現れない資産についても考えなくてはいけないんですね。
れれ、話が変なところに行ってしまった。不確実性に関する議論は、また、改めてすることにいたしましょう。