自作ミステリ(1) (2) (3)、「エミちゃんの事件帳」と題しているんですけど、この「事件帳」って、ちょっと変わっていると思いませんか?
普通ミステリーによくあるのは「…の事件簿」、これ、多分「シャーロックホームズの事件簿」が初期のものだと思います。で、「帳」が付くのは、時代劇の「…捕物帳」。実は、「事件帳」この合体なんですね。でも、合体によって生まれる効果、なんか、「学習帳」とか「書取帳」みたいな、小学生でも使いそうな、柔らかなイメージでしょう。ナイスアイデア、なんて、自分では思っているのですが、どんなモンでしょうかね。
さて、本家「シャーロックホームズの事件簿」には、「吸血鬼事件」という短編が収められていますけど、これ、なんとなくしっくり来ない話だと思いませんか?
昔、返信メイル等の先頭に付く「RE: 」の意味をめぐって議論があったのですが、これ、「レスポンス」でも「リプライ」でもなくて、「…の件」って意味なんですね。元はラテン語のそういう言葉、で、事務的な連絡に略して「RE: 」と書きます。
で、シャーロックホームズの事件簿にも、これ、出てくるんですね。ホームズが受け取った手紙の題名、原文では、「RE: Vampire」となっています。バンパイヤ、普通に訳せば吸血鬼、だからこの部分の日本語訳も「吸血鬼の件」なんですけど、題名の「吸血鬼事件」も含めて、この訳、おかしい。
あまり書いてしまうとネタバレになりますけど、手塚治虫の「バンパイヤ」という漫画を読まれた方はお分かりだと思います。あの漫画では、「バンパイヤ」とは、何かのきっかけで動物に変身してしまう人の意味、まあ、吸血鬼もバンパイヤの一種なんですけど、狼男なんかもそうなんですね。というわけで、シャーロックホームズの事件簿を読まれる方は、事前に手塚治虫のバンパイヤを読まれると良いのではないでしょうか。で、事件簿の吸血鬼という文字、「バンパイヤ」と読むと、雰囲気が伝わると思いますよ。
話が前後しますけど、返信メイルのタイトル先頭に「RE; 」を付けるというのは、インターネットの約束事である「RFC」にも規定されています。これによると、他のメッセージに応答する場合、タイトルを付け替えない場合は、元のメイルのタイトル先頭に、「RE: (アール・イー・コロン・ブランク)」の4文字を付けたものにするとされています。(RとEは大文字でも小文字でも構いません。)また、先頭が既に、「RE: 」で始まっている場合は、改めてつけることはしない、とも。
最近のメイルソフト、「RE[1]: 」や「FWD: 」なんてのを勝手に付けるんですけど、これをやられると、返信が続く場合、先頭に変なものがずらずらと付いてしまいます。メイルソフト、RE: だけにしておいてくれると嬉しいのですけどね。