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ケース・スタディ

先日ご紹介したシャーロックホームズの事件簿、英語の原題は"The Case Book of Sherlock Holmes"。事件、英語ではケース、なんですね。

で、このケースという言葉なのですが、面白い話をご紹介しましょう。


その昔、米国では経営学は世間からあまり尊重されていませんでした。これはまずいと考えた経営学者、世間を見渡して、ふと気が付いた。なるほど、米国で羨望を集めている職業は、医者と弁護士、こんな風になれば嬉しい。これを良く調べると、医者も弁護士も、「ケーススタディ」というのをやっている。医者のケーススタディは「症例研究」、個別の患者について研究する。で、弁護士は「判例研究」、個別の事件を分析するのですねえ。そこで、経営学もケーススタディを取り入れたらどうだろうか、と考える。個別の経営判断を分析する。材料は山ほどあるし、経営問題、病気とも事件とも似ています。その目論見は見事に当たり、経営学は、世の経営者に受け入れられるようになりましたとさ。


このお話、真偽のほどは不明ですけど、なんか面白いですね。

ケース・スタディ、これ、対象が複雑である場合の研究方法として有効なやり方ですね。なにも、医者と弁護士、経営学者の独占物ではなさそうです。

たとえば事故が起こる。そのケースを分析することも出来ます。これは、安全工学。回転ドアのケースでは、設備の動作という、ハードウエアの分析も必要だし、管理体制、センサーはいかにしてイジラレタか、という社会的分析も必要です。

この方法論を利用してミステリーを書くことも出来ますね。たとえば「タケシのケーススタディ#1:地底の惨劇」なんて題にして、まず、起こったことを書く。背景を書く。対立するさまざまな立場の事情を書く。あ、トム・クランシーの小説、これ、ケーススタディ風アプローチですねえ。まあ、「タケシのケーススタディ:」シリーズのミステリ、あんな感じで書けば良いわけです。

ふむ、探偵を経営学者にして、主に企業犯罪を扱う、なんて枠組みが良さそう。今度の探偵は、金回りが良い、という設定にしたいなあ、、、

ところで、Case Book の Book の方ですけど、これ、普通に訳すと「本」、でも、会計の世界では帳簿、なんですね。book value といえば、簿価、だから、The Case Book を「事件簿」と訳したの、なかなかの冴えたセンスではあります。あれ? 帳簿、ですかぁ? これ、「帳」の字も入ってますね。なら、「事件帳」でも良かったんじゃあ、、、