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自己責任論、ふたたび

イラク人質事件で「自己責任」、この言葉がよく聞かれるようになりました。小泉さんがイライラしているのは、自己責任でイラクに行ったはずのボランティア、ジャーナリスト、救出するのに政府が散々苦労したから。

でも、小泉さん、人質を焼き殺すといわれても、自衛隊を撤退させませんでした。もし自己責任でないなら、政府が責任を持たなくちゃいけないわけですが、そこまで深い関与、政府はしていない。少なくともそういう判断をしたわけです。つまり、この時点で、この人たち、自己責任になったんですね。

この事件に絡んでは、多額の税金が使われたと、その部分が問題視されてます。しかし、一方で、たとえ自己責任の行為にせよ、邦人の難事、政府が援助するのは当たり前じゃないか、という考え方もあります。

これ、当然だと思うのですよね。危ないところに行って事件に遇う、本人の自覚を促すのは良いのですけど、それを助けるために税金を使う、これ、当たり前のことなんですね。と、いうか、政府の一つの役割です。

家を建てるのも自己責任。密集地帯に木造の家を建てる、コレも自己責任。しかし、阪神淡路の大震災、これ、被災者を助けるのは国の役目でしょう。遊びの船でも漁業のでも、釣り船が転覆すれば、助けに行くでしょう。盛り場の、危ないところで、暴力団に絡まれたら、警察、助けなくちゃいけない。

まあ、あまり危ない行為なら、それを止めさせるのも行政の仕事、しかし、こういう危ない行為、全て否定すべきものでもない。

かつて太平洋をたった一人でヨットで渡った青年がいたのですね。で、彼がアメリカに着いたときの政府の言葉は、不法出国、旅券法違反。しかし、この大冒険を成し遂げた青年を、サンフランシスコの市民は大歓迎。で、政府の対応も変わっちゃった。法律違反、不問とされたんですね。

かつてのバブル最盛期、銀行は土地の買占めにお金を貸した。これ、相当に批判されて、大蔵省も、土地投機への融資を止めるように銀行には指導したんですね。でも、銀行、ノンバンクを迂回して、膨大な資金を融資した。で、バブルが崩壊して、それが焦げ付いて、だ~い問題に!!!

昨今の経済の問題、ほとんどコレが発端なんですよ。とんでもない話でしょう。これ、私企業の自己責任なんですよ。でも、税金を投入して助けている。ひどい話だと思いませんか? でも、コレを放置したら、日本経済、低迷しちゃう。

さて、こういった、自己責任であるべき金儲けの行為の破綻、でも、国は助ける。イラクのボランティア、己の儲けの為じゃない、遊びでもない。こういう行為は、イラクの人たちの日本に対する評価を向上する。日本にとってプラスになる行為なんですね。それを自己責任でやる、立派なことです。この人たちの苦境、政府が助けることは、全然間違いじゃないですよ。

まあ、人質になってしまったのでは、目的は果たせません。その情勢分析の甘さは、責められるかもしれない。でも、そこまでわかっている人、そうそういないと思うのですね。そもそも自衛隊の派遣も、かなりの読み違い、あったのでは、、、

で、ネットと週刊誌の論調、これ、いただけません。目立つ奴を痛めつけたい、なんて、不純な動機が裏にあったら、コレはちょっとひどい話ですね。ちなみに、この部分は、私の論文を参照のこと。これ、ホームページの左から参照できますけど、つまるところ、目立つ奴をやっつけたがる、ノーボディーの主張なんですね。

日本の今の問題、活力が失われている。活力の源、個人の元気がない。イラクの人質達に自己責任とか言う人たちに、元気の片鱗も見えない。コレは大問題。こいつらを批判する前に、何かをやって見せてくれ。多分、こんなことを言う人たち、大勢の向かうがままの人たちなんでしょうね。で、社会学の教えるところ、その先には困難が待ち受けているのですねえ、、、

元気な社会を造る鍵、それは、多様性を尊重すること、変わったことをやる奴を、尊重しなくちゃいけませんね。