イラクの捕虜虐待事件、兵士の責任を問う動きがあります。太平洋戦争後の戦犯裁判、下級兵士も責任を問われた、だから当然、米兵も責任を問われなくちゃ公平でない。
しかし、下級兵士の責任を問うこと、コレは、正当なことなのか。軍隊という組織、兵士は命令の是非など考えないように、徹底的に訓練する、どんな命令であろうと、疑わずに実行する、そんな人間を育て上げているんですね。だから、撃て、といわれれば、躊躇なく撃つ。普通のヒトがおかしいと思おうが、軍隊ではそれがアタリマエ。
そうしておいて、いざ問題が起こると、下級兵士の責任を問う。それはないでしょう、と、兵隊でもない私でも、言いたくなります。
基本的に、兵士の命令に従っての行為、責任を追うべきは、命令した上官、その上官をその任に付かせた人、今回のイラクの一件では、誰が命じてやらせたのかを、徹底的に検証しなくちゃいけません。
もちろん、上官の命令もなく兵士が独断でやったことなら、兵士の責任なのですが、この事件、兵隊が勝手にやったとは、とても思えない。もし、そうだとしても、コレだけ大規模にやられてしまっては、管理の責任、問わざるをえない。ま、組織的な関与が何かあったと考えるのが普通なのでしょうけどね。いずれにせよ、事件の背景を探ることが先決、それがラムズフェルドの責任です。下級の兵隊個人に責任を負わせて幕を引く、そんなことをやらせてはいけませんね。
さて、この問題の本質は、考えずに命令を実行する、軍のありかた、でもあります。本来は、命令を考えずに実行する、そんな兵士を育てちゃいけない。自衛隊も似たことをしている様子、こんな訓練のあり方、考え直すべきでしょう。
こんなことを言うと、「あたりまえジャン」というヒトがいる反面、「そんな軍隊じゃ、戦争は出来ない」というヒトもいるでしょうね。
明確な使命感を持ち、自らの意思で行動する、そんな兵士で軍は構成されるべき。これは、現在の法が前提としていること。兵士の人権だってあるのですね。
実のところ、そういう軍人も、過去に沢山いたし、今でも大勢いるのでしょう。どうも、ゲリラにそんな感じのヒトが多い様子なのは、なんとも皮肉な話だけど、、、
でも、徴兵で、無理やり連れてこられた兵隊にそんなことを期待するのは無理、お金目当ての傭兵や、就職先、なんて考えて自衛隊に入るヒトにも、難しそう。まあ、しっかりしたプロ意識があれば良いのですけど、そうじゃないヒトも多いでしょう。そうなると、軍隊に入ってから洗脳みたいなことをするか、体に覚えさせるしかない。これは、ちょっとまずいですね。そんなことをしたら、兵士個人の責任は問えない。どんな残虐行為も、平然と行うようになってしまいます。
まともな軍隊がありえるのは、戦争の大義を信じ、国家に誇りが持てるから。それがない軍隊で、兵隊が一々考えていたら、戦争は出来ません。
でも、大義のない戦争、金目当ての戦争は、ただの人殺し、強盗に等しい行為です。そんなことをやろうと考えるのが、そもそも間違っているんですね。