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米澤穂信を全部読む

先週のこのブログで、米澤穂信の「遠まわりする雛」を読む、というお話をいたしました。

で、先週は、「面白かったらご紹介」などと書いたのですが、結局、その他の2冊も読む羽目になりましたので、面白くなかった、といえば嘘になります。特にお奨めは、表題にもなっております最後の作品ですね。

と、いうわけで、この方の著作をほとんど読んでしまいましたので、以下、私の好みでつけましたランキングと短評を述べることといたしましょう。

まず、ランキング1位は「クドリャフカの順番」。古典部ものの3冊目で、ミステリーというよりはラノベ、ラノベにしては分厚い一冊なのですが、その厚さをまったく感じさせず、一気に読ませてしまうところはさすがです。

ランキング2位は「愚者のエンドロール」。ラノベとして発表されました古典部ものの二冊目でありますこの本は、本格ミステリーのファンにも満足のいくものではないかと思います。

実はこの本、以前ご紹介しているのですが、これをきっかけに、私は、「『涼宮ハルヒの驚愕』を推理する」などというたいへんな作業に突入してしまったのですね。まあ、そういうきっかけになった、という意味でも、印象の深い本です。

ランキング3位は、「氷菓」。これも古典部ものですね。事件のスケールは小さいのですが、悪くはありません。

で、4位が「遠まわりする雛」というわけでして、古典部が上位を独占しております。まあ、これは私の趣味に合う、というだけの話なのですが、、

5位は「犬はどこだ」。こちらは萌え要素とは無縁のサスペンス。以前のブログでご紹介いたしましたが、一風変わった読み物ではあります。

6位は、「インシテミル」。こちらは最初のページに館の見取り図があります「本格推理」でして、設定に無理があるようには思いますが、ある種のパズル、と思えば納得できないこともありません。

7位は「ボトルネック」。こちらは、ミステリーといいますか、超常現象ものでして、SFといっても良いかもしれません。これは、私の趣味の問題なのですが、主人公もしくはそれに近い登場人物が自閉症気味、というのはあまり好きではないのですね。

と、いいましても、ネギま!の宮崎のどかは別。あのような、根がしっかりとしていることがわかった上で、コミュニケーションに齟齬が生じるのは悪くありませんが、自閉症かつ甘ったれ、というのは、少々困ったものです。

8位は同着で、「春期限定いちごタルト事件」と「夏期限定トロピカルパフェ事件」。まあ、雰囲気は悪くはないのですが、ランクが低いのは上と同じ理由でして、「おーい、いいかげんにしてくれよ」といいたくなるような気もいたします。

別格は「さよなら妖精」。こちらは以前のブログにも述べましたように、普通の書物としては、私には扱えません。お奨めの一冊ではあるのですが、、、

と、いうわけで、結局、米澤穂信氏の本を10冊も読んでしまいました。ですから、この人の作品が好きか嫌いかと問われれば、返答に窮します。まあ、本屋で見かければ買うだろう、ということは確かにいえるのですが、これは面白い、といえるのは、古典部もので、その他は「妖精」を除いて、あまり人様にお奨めできるようなものではないような気もいたします。

まあ、ありていに言えば「難あり」でして、「色の白きは七難隠す」ではありませんが、その難を補って余りある魅力を持っているから、思わず買ってしまうのですが、文句をつけようと思えばいくらでも文句がつけられる、というところが少々問題なのですね。

まあ、文句があるかもしれない、というエクスキューズをおいた上で、米澤穂信氏の書物、なかなか面白いかったです、と本日のブログを締めくくっておきましょう。