先日のブログで、電流の作る磁場とは、実は相対論的効果により移動座標系から電流の流れる導体を観測すると電荷のバランスが崩れて観測されるための静電界的効果である、とご説明いたしましたが、つらつら考えておりますと、この説明と電流の作る磁場とは、少々現象面で異なることに気付きました。
ことの真相は依然として謎なのですが、何が謎であるのかをここに書いておきましょう。読者への挑戦ではありませんが、謎の答えにお気づきの方がおられましたら、この記事にコメントをお願いいたします。
さて、先日のブログでは、x 方向に電流の流れている導体を x 方向に移動する座標系から観測すると電荷のバランスの崩れが観測され、x 方向に運動している電荷はこれによって力を受ける、ということをご説明いたしました。
ところで、磁界という概念を介在させますと、x 方向に流れている電流は紙面に垂直な磁界を作り、これに直交する電流に(すなわち紙面内の電流に)力を発生させる、ということになります。
この結果、たしかに x 方向の電流にも力を及ぼすのですが、導体に向かう方向(y 方向)の電流にも力を発生させることになります。
そこで問題は「相互に直交する電流は力を及ぼしあうか?」ということになります。
電流が紙面に垂直な磁界を形成するという考え方によれば、この問題の答えは yes です。しかし、先日のブログで説明いたしましたような相対論的効果により電流が運動する物体に力を発生させるという議論では、y 方向の運動は x 方向に関しては静止しているため、相対論的な効果は発生しないとせざるを得ないように思われます。
電流の流れている電線を直交させた場合、これが剛体でできているならば、相手の電線に近づく部分と遠ざかる部分があって逆の方向の力を受けるため、全体として受ける力はキャンセルすることになります。しかし、部分部分が受ける力の効果は生じるはずであり、電線が柔軟な素材でできておりますと、これを曲げるような効果が生じるはずです。
同じ実験を、一方を電子ビームで行えば、よりはっきりするでしょう。
これでもしも力を発生しないということになりますと、磁場は存在しないといわざるを得ず、マックスウェルの方程式は完全にその存在意義を失ってしまいます。まさかそんなことはないとは思うのですが、果たして正解はどこにあるのでしょうか?