イケハヤブログを読んでいたら面白そうな記事を見つけました。この話題の元がけんすうブログの記事なのですが、これだけではあまり起業家志望の方には役に立ちそうもないと思い、私の起業経験について、ちょっと書いておくことといたします。
まず、この方(18歳)と私の全然違うところは、私は定年退職後に起業しているということで、ある程度の経済的基盤と、業務の具体的イメージがあって始めていることが強みなのですが、18歳には18歳の強みがあるのですね。つまりは、生活にさほどお金がかからない。体力がある。だから、昼はバイトで夜開発、というようなパターンも可能である、ということです。
大学に在学していても、大学生というのはかなり暇ですから、開発のための時間をひねり出せないわけではない。大学に所属しておれば、図書館が利用できるし、ひょっとすると先生方の知恵を拝借できるかもしれない。講義を受ける時間は無駄になるのですが、卒業にこだわらないなら、まじめに講義を聴いている必要もなく、教室の席に座って自らの開発テーマを考えていてもよいのですね。授業料は無駄ではあるのですが、色々な刺激を受けますので、全くの無駄ということもありますまい。
法人化は、機材を購入したり、展示会に出展しようとすれば必要になるのですが、製品やサービスが具体化するまでの間は、あえて法人にする必要はありません。開発段階から法人化しておくメリットは、自分に給与を支払うことで法人に累積損失を積み上げておくことができること。こうしておけば、利益が出た段階で支払う法人税が節約できるのですね。
逆に、法人化のデメリットは、外形標準課税がかかること、社会保険料負担が生じること。法人設立自体は、50万円もかければ立派なものができるのですが、その費用が出ていく点もデメリットではあります。
ちなみに私が法人を設立した際のいきさつにつきましてはこちらのページにご紹介しております。ここでは、社長の月給20万円、などと書いておりますが、給与をとりすぎると年金が減ってしまう、などというつまらぬ制度があったため、急きょ計画を変更して月給5万円とした点が、現実とは異なるところです。まあ、このあたりは、収益化の時期を予想して、適当なところで採算が合うようにしておけばよいでしょう。
もう一点、共同経営者ですが、サークルなどですでに共同開発をしているならば共同経営という形をとらざるを得ないのですが、複数の人間がかかわると、開発方針に関する思惑の違いや利害の対立なども起こりえるし、意思決定に時間がかかってしまいますので、自分の意思が通りやすい形で始めるのが良いと思います。
一人でやるとなりますと、最低限、会計はできなければいけないのですが、「マンガでわかる!はじめての簿記入門 」などの簡単な解説書でもさしあたりは十分だと思います。私は、夜学に通って経営学修士まで取ってしまったのですが、ここまでやる必要は、正直、ないと思います。まあ、私の場合は、大会社にしてやろう、などという野望があったものですから、、、
と、いうわけで、若い方が起業しようというなら、卒業はあきらめてもよしとしつつ学生の身分は保持して、まずは製品を開発して、個人の立場でこれを社会に問うというやり方が一つ、授業料がもったいないと思うなら、大学はやめて開発に注力し、資金が不足するならバイトで稼ぎながら開発を進めるというやり方がもう一つあるでしょう。(やり過ぎて健康を害するようなことがありますと、元も子もありませんので、なにごともほどほどにする必要はあるのですが。)
そして、ある程度製品ができて、人を雇ったり、他社と交渉や契約をしたり、宣伝を打ったり、展示会に出そうなどという段階になりましたら法人化する、というのが最もスムーズなやり方であるように、私には思われます。最初から累損を積み上げるという作戦でやるなら、早い段階で法人を設立すればよいのですが、法人化には費用が掛かりますから、失敗した時の損失が増えてしまうのが難点ではあります。
なお、上記後者のケースで、バイトというのが、たとえばソフト開発を請け負うといった業務であるなら、さっさと法人を設立して、法人としてこういった業務を請け負うのが良いですよ。なにぶん、法人ベースで会計するとなりますと、さまざまな出費を経費として計上できますので、最終的に支払う税金を安く抑えることができます。年収百万を超すあたりからは、法人化が有利になるのではないでしょうか。
めざせトランプ、です。がんばってください。
続きです。