2/27付け中村ゆきつぐ氏のBLOGOS記事「新型コロナウイルスPCR検査の意味 もう今の時期には無駄な仕事を増やすだけ 検査のために病院に行くのはわざわざ感染しに行く愚の骨頂」にコメントしました
このエントリーもそうですし、他のエントリーにもいくつか、検査自体の精度を怪しむ主張が出ておりますね。
そろそろ、検査の精度というものを公表すべき時期に来ているような気がします。それによって、検査の必要性や、そもそもの患者数に対する考え方も変わろうというものです。
つまり、感染しているのに陰性になる「うっかり者の誤り」と、何の問題もないのに陽性になる「慌て者の誤り」が、この検査の場合にどの程度の率であるのか、という問題ですね。
健康診断などでは、「精密検査が必要です」といわれて精密検査を受けても、ほとんどの場合「問題ありません」ということになっている。見逃しを防ごうと思えば、そういうことになるのですね。
もしも「慌て者の誤り」が10%近くも含まれているというなら、公表されている患者数の多寡に寄与する要因のかなりの部分は、検査の数ということになって、実際の病気の広がりと公表されている患者数は関係ない、という話になってしまいます。
もしもそういうことであるとすると、患者数ゼロのインドネシアと、多数の患者を出している韓国の差が、単に検査をしないか、徹底的に行うかの差ということになり、かのお国では恐ろしいばかりの愚かな行為がなされているということになってしまいます。
さて、実際のところはどうなのでしょうか。
我が国のように、適度な数の検査を必要性の高いところに行う、というのが大人の対応であるような気もしてきたのですが、、、
以下は本ブログのみの情報です。
先日コメントした木走氏のエントリーでは、我が国と韓国の感染者の差が検査数の差に対応していることから、木走氏は人口当たりの感染者が我が国と韓国では同等なのではないか、としておられるのですが、慌て者の誤りの確率が高いことがこの原因である、とも考えられるのですね。
つまりあの時点で、韓国は我が国の10倍の感染者を出しているのですが、韓国で行われている検査数が我が国の10倍であるということで、検査数あたりの「感染者」の数はほぼ同じとなっているわけです。
この検査が正しいとすれば、もしも検査が全くランダムに行われているなら、人口当たりの感染者数が同等ということになります。
まあ、検査が正しいとしても、疑わしい人を検査しているはずなので、疑わしい人の中での感染者の比率が同じなら、同じ結果が出る。
でも、韓国は検査体制が整っているがゆえに、疑わしくないけれど、心配性の人が多く検査を受けているということであると、人口当たりの感染者が同じで、我が国は検査をしないから感染者が少なく出ているという木走氏の結論が正しいかもしれないし、あるいは、ここで出ている「感染者」には相当数の慌て者の誤りが含まれているのかもしれない、ということになります。
正確な結論は、この検査の精度がどの程度あるのか、特に、慌て者の誤りの確率はどの程度であるのかというデータを俟たなければいけないのですが、おそらくは上の二つのケースのいずれか、というのがありそうなところです。
一つの可能性は、検査をしていないけれど感染している人が相当数存在するという可能性で、そうである理由が、大した症状も出ないからであるというのは大いにありそうなことであり、そうであるなら検査は無駄、ということになります。
もう一つありそうなのは、慌て者の誤りが無視できない数あり、韓国で出ている多数の「感染者」は、実は慌て者の誤りである、という可能性ですね。こちらであるといたしますと、韓国の悲劇は喜劇的ですらある。
そして、この二つのケースのいずれにしても、「検査は無駄」という中村氏のエントリーの正当性を裏付けることになります。
ここまでまいりますと、そういうことである可能性がかなり高そうである、という気がしてまいりました。
今回の問題、ひょっとして、騒ぎすぎであったのかもしれません。
本件に関する専門家の情報はBuzzFeedの記事がよくわかります。
検査の精度はさほど良くない。ただし、韓国では、宗教団体の感染ルートがある程度わかっているため、封じ込めのために検査数を増やしている、ということのようです。
我が国ではすでに、無症状の感染者からの感染が拡大しており、一般の無症状の人に検査を拡大することにさしたる意味もないため、ということのようです。
2/29追記:コメントへの返信とこれに対する私の返信です。なお、「特異度」は、陽性判定が出た場合に実際の感染者である確率で、上で使っております「慌て者の誤り」は「100%-特異度」ということになります。
荻原 正佳
ネット上の各種記事を見ると、現在の検査方法は陽性を陰性と判定してしまう率が30%から50%と言われているようです。複数の検体を取るか検査を複数回やれば精度をある程度は上げられるかと思いますが、誤判定の率が50%とした場合には、3回やっても陽性の人の8分の1を見逃すことになります。一方、陰性を誤って陽性と判定する率はかなり低いようです。
返信 · 11時間前
瀬尾 雄三
荻原 正佳 さん
> 一方、陰性を誤って陽性と判定する率はかなり低いようです。新型コロナウィルスのPCR検査の特異度数値がなぜか拾えないのですが、一般的な検査では80~95%といわれています。つまり、陽性と判定された場合も5~20%はウィルスを持っていない人だというのですね。
そうであるといたしますと、毎日一万人の検査をおこなえば、感染者がゼロでも500~2,000人が感染しているという結果が出る。
まあ、韓国で起きていることがそうであるとは思いませんけど、一つ間違うと、そういうことになってしまう。
むやみやたらと検査数を増やすことは、恐ろしい誤りを犯す可能性がある、ということは認識しておかなくてはいけません。
荻原 正佳
一般的には、偽陰性を出す確率と偽陽性を出す確率とは逆相関の傾向があると言われています。PCR検査の場合、陽性の人から検出されるウィルスの数がもともと少なくて偽陰性の誤判定が出やすいとのことです。つまり、網の目がやや粗いタイプの検査だと言えます。
そういう特性を考えると、偽陽性の率は一般的な検査よりも低いのだろうと思われます。
ただ、偽陽性の確率が1%くらいとしても、1か月に30万人検査すると3千人くらい偽陽性が出るという計算にはなりますね。
偽陽性の確率が実際の感染率よりも高い場合には、感染者とされた人の中で偽陽性のほうが多くなってしまうわけです。
返信 · 3時間前
瀬尾 雄三
荻原 正佳 さんどのくらい正確に感染者がカウントされているかを知るため、【感染者÷死者数】を計算してみました。
国 感染者 死者 比率
中国 79251 2835 28
韓国 2337 13 180
イタリア 888 21 42
イラン 388 34 11
日本 237 5 47
香港 86 2 43日本、イタリア、ホンコンは42人の感染者あたりに一人の死者が出ているのに対して、イランは11人、中国は28人の感染者あたり一人の死者が出る。
3か国が同じ水準ということは、一定レベルの医療水準にあれば、この程度の死亡率だとも言えそうです。
一方、中国、イランで死亡率が高いのは、医療環境が悪いためとも思われますし、相当に症状の重い人だけ検査しているのかもしれません。
興味深い点は、韓国の死亡率が極めて低いこと。これは、もしかすると、韓国は検査のし過ぎで、この膨大な数の「感染者」のかなりの部分が偽陽性なのではないか、と私は疑っています。
いいね! · 返信 · 1分前
荻原 正佳
瀬尾 雄三さん全員を検査した武漢からの帰国者は感染率1.4%と出たことを考えると、それと同水準の検査をしているなら、偽陽性の率は少なくともそれ以下(おそらく1%未満)ということになります。
韓国では民間委託で件数をこなしているようなので、精度に問題が生じている可能性もあるでしょうが、偽陽性の率が比較的低いとしても、検査を大量にしていると感染者数の相当部分が実は偽陽性ということはあり得ますね。
いいね! · 返信 · 47分前