小宮山洋子氏の3/7付けBLOGOS記事「中韓の入国制限も唐突 困る留学生など」にコメントしました。
これはむしろ、これまで中国からの日本入国がフリーパスだったことの方が問題でしょう。
新型コロナ感染者が多数発生しているクルーズ船の乗客のうち、感度がさほど高くもない検査が陰性だった者を公共交通機関で帰宅させたことが問題視される一方で、同じく感染者が多数発生している中国からの入国者が自由に行動することを問題視しないのはダブルスタンダードなのですね。
この中国に対する甘い措置が、国家主席の国賓待遇での訪日を控えていることを受けての甘い対応というか、忖度といったものであったとする批評は、おそらくは正鵠を突いているのでしょう。
で、韓国に関しても、多数の感染者を出しており、フリーな入国は少々問題であるとしても、中国に甘い対応をとる以上、これよりは軽微な韓国に対して厳しい対応をとることもできない、という事情もあったのでしょう。
だから、中国国家主席の訪日が延期となったこの時点で、中国韓国に対する感染防止措置が取られるという今回の対応は理解できるものです。つまり、大人の対応、ということですね。
なお、韓国と同様なオーダーの感染者を出しているイタリア、イランに対しても同様な措置をとるべきだと思うのですが、イタリアに対してはEUということで遠慮がある様子であるのは、これも問題なのですね。
EUというくくりを意識するなら、すでにドイツ、フランスの感染者数は日本を上回っているわけですから、EU諸国からの訪日者すべてに対しても同様の処置をしてもよいくらいです。
まあ、EUの中の一地域であるイタリアからの訪日者に限定して処置するのも、おかしな話ではないとは思うのですが、、、
3/8追記:以下はブログのみの情報です。
3/6現在の世界での、新型コロナウイルスによる感染者と死者数の比率を下の表に示します。(内閣官房の3月6日12時現在データ(左)および3月8日現在データ(右)から加工)
赤は死亡者数あたりの感染者数が少ない国で、中国、イタリア、イラン、米国、豪州がこのグループに属します。
死亡者数あたりの感染者が少ないということは、感染者は高い比率で死亡しているということを意味し、医療環境が劣悪で感染者に対する十分な治療が施せないか、あるいは検査体制が十分でなく、重篤な患者のみを検査している可能性を示しています。
青はこの逆で、死亡者数あたりの感染者が多い国で、韓国、ドイツがこの典型的な国です。また、シンガポール、ノルウェー、オランダは死亡者数がゼロですので、一応このグループに含めていますが、感染者数が少ないためにたまたま死亡者が出ていない可能性もあります。
これらの国は、医療環境が特に優れている可能性もないわけではないのですが、おそらくは、検査を十分に行った結果、感染者が多く出ている可能性が高いものと思われます。
黒はその中間の国で、50~90人の感染者に一人の死亡者が出ております。
これらの数字を眺めるに、おそらくは100人~200人程度の感染者あたりに一人の死者が出るというのが実際の姿で、感染者が少ない値を示している国は、ある程度の重症者に対してのみ検査が行われた結果そのような数値が出ているのではないかと思われます。
死者に対する感染者数の少ない国々、特にイタリアや米国では、今後検査体制が整備されるにしたがって検出される感染者数が急速に増加する可能性が高いものと予想されます。また、現在感染者が捕捉されずに自由に動き回っていることから、実際の感染者数も増加し続けているものと思われます。
このことは、この先米国の感染者数は10倍程度に拡大する可能性が高く、世界経済にも相当な打撃を覚悟しておかざるを得ないことを意味します。(NYTの世界感染者数MAP。米国の感染者数は3/8現在で400+としている。日本の感染者数はクルーズ船込みの1000+としているが、クルーズ船を除けば450人程度であり、すでに米国の感染者数は日本と同レベルとなっている。)
その一方で、感染者あたりの死者が少ないということになりますと、これは普通の病気であり、日常生活と病気が共存し得ることとなり、昨今の非常態勢は打ち切ることができる。つまり、社会的活動は平常時に復帰するということになります。
現実に起こりそうなことは、この先一週間程度は大きな問題となり、その先で急速に収束する、といったところではないでしょうか。
今はまだ先が完全に見通せるわけではないのですが、油断はせず、その一方で、過度に悲観的にもならない、柔軟な姿勢がこの先大事なのではないかと考えております。
3/9追記:3/9付けの永江一石氏のBLOGOS記事「データで見る、コロナに強い国と弱い国。コロナ禍のあとはそこを狙え! 」によりますと、韓国で死者数が少ないのは感染者の大部分が20代の女性であるからだということです。
こうなりますと、韓国のデータは例外的なものと考える必要がありそうです。