米山隆一氏の4/22付けBLOGOS記事「新型コロナウィルス感染症の軽症患者にPCR検査を行う事のメリットとデメリット」にコメントしました。
コストということを考え出すと難しい話になるのですが、いかにして新型コロナの感染拡大を防止するかという視点であれば話は簡単なのですね。
つまり、検査を強化して、軽症者や無症状の感染者を見つけ出し、これを隔離することは、この人たちが引き起こすであろう感染拡大を防止する一つの戦術ということになります。
いま、何もしない場合の感染拡大を表す基本再生産数をR0として、検査強化により街中を出歩いている感染者の割合をC1まで下げたとします。そうすると、実効再生産数はR0×C1となり、この値が1以下になれば感染拡大が防止できるのですね。
R0は2.5ですから、C1が0.4以下であれば検査だけで感染拡大を防止できる。偽陰性が0.3なら、9割がたの人に対して検査を実施すればよいということになります。
この手の作戦は他にもあって、ソーシャルディスタンスを確保したり、外出を減らすなどして、濃厚接触者をC2まで下げたとすると、同じ理屈が成り立ちます。
で、この双方を行った場合の実効再生産数はR0×C1×C2になるわけで、いろいろな作戦を組み合わせれば、それぞれに要求されるハードルが下がるのですね。
もう一つの作戦が抗体を持つことで、抗体を持たない人の割合をC3とすると実効再生産数はR0×C1×C2×C3となります。
C1、C2がともに1、つまり何もしない場合でも、6割の人が感染してC3が0.4になれば、それだけで実効再生産数は1となり、それ以上の感染拡大は起こらなくなる。その時の犠牲者が40万人、などという話なのですね。
再生産数を下げる手を打てば打つほど感染者は減少し、犠牲者も減少します。たとえ店内が混雑していても、レジの前だけ間隔を開くことにも多少の効果はあるのですね。
そう、無駄な照明をひとつづつ消して回ることが地球温暖化防止につながる、というような話であるわけです。