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木走正水氏の2/22付けBLOGOS記事「東京都の感染者数倍加時間10日の持つ意味」へのコメント

木走正水氏の2/22付けBLOGOS記事「東京都の感染者数倍加時間10日の持つ意味」にコメントしました。


倍化時間は、パンデミックといわれるような感染の急拡大に際しては大きな問題となるのですが、緊急事態が続くか終わるかという問題に関しては、再生産数がより大きな問題となります。

というのは、倍化時間は指数関数的な変化を表すパラメータで、日々の増加率に対応しています(増加率5%なら2週間で倍化、10%なら1週間、3日で倍化するなら26%ほど。)

倍化時間は、世代交代の期間と世代間の個体数の比率(つまり再生産数)で決まるのですが、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを決めるのは再生産数で、これが1よりも小さければ減少傾向にあるのですね。

医療資源不足が問題になるような場合は倍化時間が重要なパラメータですが、いつまで緊急事態を続けるのかという問題に関しては、再生産数を安定的に1以下にするにはどうすればよいか、という点が注目されます。

もちろん、1より小さければゼロになるかといえばそういうことはなく、感染の経緯を与える分枝過程という確率過程では、個体数は偶然に発生する数と、他の個体によって引き起こされる固体数の和(訂正しました)で与えられます。

そして、前者は個体数ゼロでも発生し、再生産数R(ここでR<1)としたとき自然発生数の 1/(1-R) 倍に拡大された個体数となるわけです。

いずれにせよ、この先は再生産数を低く保つような社会システムにすることを考えていかなくてはいけません。これが、次の課題、ということになるのでしょう。


このコメントにいくつか議論が続きました。

Toshimi Minoura
> 倍化時間は、世代交代の期間と世代間の個体数の比率(つまり再生産数)で決まるのですが、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを決めるのは再生産数で、これが1よりも小さければ減少傾向にあるのですね。

倍化時間をT、世代交代の期間をG, 世代間の個体数の比率(つまり実効再生産数)をRとすると、2 = R**(T/G) 、すなわち、log 2 = T/G log Rとなります。例えば、R = 4 とすると log 2 = T/G log 4 ですから、log のベースを2とすれば、 log 2 = 1、log 4 = 2 ですから T = 1/2 G となります。ここで、log のベースは 2 でも、10 でも、e でも、何でも良いです。log のベースが 10 なら、 log 2 =0.3010、log 4 = 0.6020 となり、 log 2 /log 4 = 1/2 です。

倍化時間を負の数 -Tとすれば、Tは半減時間となります。

2 = R**(-T/G) 、すなわち、
log 2 = T/G log R => - log 2= -T/G log R
=> log 1/2 = -T/G log R => 1/2 = R**(-T/G)
となります。


Toshimi Minoura
> 個体数は偶然に発生する数と、他の個体によって引き起こされる固体数の輪で与えられます。そして、前者は個体数ゼロでも発生し、再生産数R(ここでR<1)としたとき自然発生数の 1/(1-R) 倍に拡大された個体数となるわけです。

これは、どういう意味ですか? 新型コロナウイルスの場合は、個体数ゼロから発生したのは、最初の1個体だけだとおもいます。これは、別のウイルスが変異したものです。そして、一つの個体から再生産される個体数は、0か、一つづつ何回も繰り返します。Rは平均値です。


瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん

| 新型コロナウイルスの場合は、個体数ゼロから
| 発生したのは、最初の1個体だけだとおもいます

ブランチング・プロセスは、自然発生する固体と、他の固体から生み出される固体の和として個体数が増加していきます。

国内の感染をモデル化する場合は、海外からもたらされたものが自然発生部分にカウントされます。帰国者や海外観光客の持ち込むウィルスは、国内の感染者数とは無関係に国内に感染者を発生させます。

その他、動物がもたらしたものなどがもしあれば、これも自然発生ということになるでしょう。

全地球的規模で感染をとらえるなら、動物からの感染や、微生物研究所からのウィルスの漏れだしなどが、自然発生部分にカウントされるわけで、これは相当に少ないと思います。


Toshimi Minoura
訂正

2 = R**(-T/G) 、すなわち、
log 2 = T/G log R => - log 2= -T/G log R
=> log 1/2 = -T/G log R => 1/2 = R**(-T/G)
となります。

==>
2 = R**(-T/G) 、T>0 すなわち、
log 2 = -T/G log R => - log 2= T/G log R
=> log 1/2 = T/G log R => 1/2 = R**(T/G)
となります。

すなわち、T 日たつと、感染者数が半減するということです。


Toshimi Minoura
> 再生産数R(ここでR<1)としたとき自然発生数の 1/(1-R) 倍に拡大された個体数となるわけです。

SIR モデルでは、M(t) の個体数が自然発生したとすると、総人口を N として、発症者I(t) を

d/dt I(t) = R (S(t)/N) I(t) – g I(t) + M(t)

とすることができます。

自然発生数の 1/(1-R) 倍に拡大された個体数とは、M(t) / (1 - R) となりますが、この意味が分かりません。


瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん

| 自然発生数の 1/(1-R) 倍に拡大された個体数とは、
| M(t) / (1 - R) となりますが、この意味が分かりません。

(外国人観光客から感染するなどして)一人の感染者が発生した場合、自然発生が1となるわけですが、R<1の場合もこの人から感染する人が出てくるために、感染者数が増幅されます。

つまり、R=0.5の場合は、一人の感染者が自然発生すると、彼は期待値0.5人の感染者を生み出し、さらにその感染者が期待値0.25人の感染者を生み出すという形の連鎖が生じて、結局1/(1-0.5)=2人の感染者が発生することになります。