鈴木しんじ氏の11/1付けBLOGOS記事「55年体制が復活してしまった今回の衆議院選挙」にコメントしました。
55年体制といえば、保守合同により、保守系の二大政党が一体化して2/3程度の議席数を占め、残りの大部分を社会党が占めるという体制を意味するのが一般的でしょう。
おもしろいところは、野党サイドの思想的背景で、社会党がマルクス主義から穏健な社会主義までを包含し、共産主義を掲げて東側諸国に接近する共産党と、反共の組合に基盤を置く民社党とのオール野党チームと自民党とが向かい合うという形をとったわけですね。この野党側は、立民+共産の思想に近く、そういう意味で55年体制再来か、という見方も理解できなくはありません。
ところで、このような、福祉と労働者階級への配分を重視する野党の主張が意味を持ちえたのは、当時の我が国の経済が右肩上がりに上昇していたという背景があり、経済成長の果実をいかに分配するかが政治的テーマになり得たのですね。
これに対して今日では、経済成長はさほどでもなくなり、発展途上国との間の競争が激化する形に経済環境が変化し、配分の議論に先立つ、国際競争にいかにして打ち勝ち、日本社会を経済的に豊かにするかが重要なテーマになってまいります。そうなりますと、階級的対立に基礎を置いて配分を議論する55年体制は成り立ちにくくなります。
そのような時代における対立点があるとすれば、中央の統制を重視する大きい政府か、民間の活力と競争を重視する小さい政府か、という対立が一つあり得るでしょうし、国に権限を集中するか、地方分権を進めるかという議論にもつながる。これは、自民対維新なり、自民対小池新党の対抗する構図に近いのですね。そう考えますと、たぶん、55年体制の再来はない。55年以前の、保守系二大政党の対立というのが、この先の政治体制になるのではないかと、私は予想しております。
保守だからね