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再論「ひろゆき高橋洋一論争」

アゴラ編集部の6/26付けアゴラ記事「『1ドル=300円でみんなハッピー』という高橋洋一さんにひろゆきが反論」へのコメントです。(以前の議論はこちらです。)


高橋洋一氏は、物言いが乱暴で極端なことを言いますので、無茶苦茶を言っているように聞こえますが、よく聞いてみればそれほどおかしな話でもない。「正義のミカタ」の発言だって、中日スポーツの記事によれば、以下のものですよね。

 高橋さんは「円安上等。1ドル=300円なら成長率20%」などと書かれたフリップを手に「円安は日本政府が最大のメリット享受者」と解説。政府が保有するドルが、円安により約40兆円の為替差益が生じていると推計し「これを(国民に)吐き出せば円安なんか誰も文句言う人はいなくなる」と述べた。

つまり、『1ドル300円に国民が文句を言わない』のではなくて、『その際に政府の利益を国民に還元したら、文句を言わない』と言っているわけですね。発言の一部を切り取るという、どこかのマスコミの悪癖をマネしちゃだめですよ。

40兆円は国民一人当たり40万円ですから、赤ん坊から老人まで、一人月2万円を支給しても20か月近く持つ。3人所帯で月6万円。それで1年半も耐え抜けば、円安による景気回復のご利益が国民に回ってきて、生活も楽になるのではないでしょうか。

とはいえ、ドル円の適正レベルは、プラザ合意の時点で165円あたりとみられておりましたから、現在の160円付近がまあ適正なところ。これまでの100-125円といった水準は円高に過ぎました。国民は、実力以上の給与を得、輸入品を安値で手に入れていた。そちらが行き過ぎであると考えれば、現在の「物価高」は「正常化」だと思わなくてはいけない。

円高が国民生活を楽にするのに対して、円安は一国の貿易収支を改善する。つまり、国が豊かになるのですね。その逆もまた真で、円高は国家の経済を破壊する一方、円安は国民の窮乏化を招く。どちらも行き過ぎれば不幸になります。何事も、妥当な水準にしなくてはいけない。そういう意味では、150-200円あたりの水準が日本経済の実力相応のレベルだし、国民もこれに耐えなくてはいけないのだと、私は思います。


他の方のコメントに返信を入れました。

佐藤 鴻全

通貨安で輸出ドライブは定石だが、やり方が悪ければアルゼンチンになってしまう。 その点は、個々の会社経営のようなもの。

概ね、為替については極端な円高でも円安でもなく、「円中」を望みたい。


瀬尾 雄三

> 通貨安で輸出ドライブは定石だが、やり方が悪ければアルゼンチンになってしまう。

アルゼンチンの経済危機は、無理な自国通貨(ペソ)高が招いたもので、ペソ安は経済危機の結果生じております。

1980年代のアルゼンチンは度を越したインフレに悩まされ、1991年に1ドルを1ペソとする「兌換法」を導入します。この法律は中央銀行にこの交換比率を強制するものでした。しかし、アルゼンチンの産業は、この為替レートでは成り立たず、輸入品に国産品が駆逐され、対外債務が膨れ上がる結果となったのですね。これが2000年代初頭にアルゼンチン通貨危機が発生した要因でした。

結局、2002年には変動相場制に移行しておりますが、この時点でアルゼンチン経済に見切りをつけて海外に脱出する企業や人が続出しております。

アルゼンチンペソの対ドルレートは、1ドルから2002年に0.35ドルに下げた以後、下落が続き、2023年には0.0038ドル、2024年には0.0012ドルとなっております。無理な自国通貨高政策の招く恐ろしさが如実に表れております。 https://ecodb.net/exec/trans_exchange.php?type=EXCHANGE...


佐藤 鴻全

> アルゼンチンの経済危機は、無理な自国通貨(ペソ)高が招いたもので、ペソ安は経済危機の結果生じております。

なるほどアルゼンチンタイプではなさそうですが、円安で回帰して来た製造業を苛めないようにないといけませんね。

> そういう意味では、150-200円あたりの水準が日本経済の実力相応のレベルだし、国民もこれに耐えなくてはいけないのだと、私は思います。

ビッグマック指数とか見たり、また個人的な円資産を考えると130円辺りを所望したい所です。


瀬尾 雄三

> 【トランプ政権】になれば状況は激変!!
> 今のうちに外貨を売って含み益を出しておくべき!!

と語っているのも高橋洋一氏ではないでしょうか。この助言は的を得たものではないかと思います。つまり、トランプ政権になれば円高になる、と高橋氏は予想しているのですね。そして、トランプ氏が大統領に就任する可能性は、かなり高い。また、我が国で石破氏が総理になったりいたしますと、ひょっとすると彼は円高指向の政策を採用するかもしれない。

と、いうことは、お望みの130円/ドルの可能性もかなりあると思いますよ。まあ、下手をすると100円台まで行ってしまうのではないかとみているのですが。

ただし、米国にも冷静な分析をする方々がおられますし、円高になればトラストベルトの景気が回復するというものでもない。実際の問題は、中国の粗鋼生産の急拡大だし、米国鉄鋼産業の技術的遅れなのですね。後者に関しては、日鉄が救いの手を差し伸べているのですが、これは別の話。

トランプ氏がこのあたりに気付けば、敵は本能寺、じゃなくて北京ということになり、日本の円安で中国を含む近隣窮乏化ができるではないか、との結論に至ることもありそうな話。そうなれば、再び円安に振れるのではなかろうか、と予想しております。うまくこの波に乗れれば面白い勝負になるのですが。あ、これ、外れても責任は持ちません。ご自身の判断でお願いします。


参考までに、世界の粗鋼生産量のグラフを以下に示します。

1 thoughts on “再論「ひろゆき高橋洋一論争」

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