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経済環境評価は総合的な視点で

アゴラ編集部の10/7付けアゴラ記事「高市総裁誕生でドル円150円台突入:積極財政がインフレを呼ぶ危うさ」へのコメントです。


高市政権の誕生は、短期的には「円安・株高」という市場の反応を引き出したが、長期的には「インフレ加速・債務膨張」という副作用を孕む。アベノミクス初期とは異なり、すでにインフレ環境下にある今の日本で積極財政を拡大すれば、低所得層への打撃が強まる危険もある。市場の熱狂の裏には、静かにリスクが存在している積み上がっている。

経済環境を評価する際には、悪い点について目を向けるだけではなく、良い点についても目を向けなくてはいけません。まあこれは、客観的な情勢評価に際しては、当然しなくてはいけないことなのですが。

アベノミクス初期とサナエノミクス(?)初期の大きく異なる点は、日本企業の経営状況が全く異なるということ。株価が上がればこれに応じてPERや利回りが悪化するのですが、現在の株価は、上昇したとはいえ、利益に裏打ちされた株価であり、バブルのころとは全然異なるのですね。

アベノミクス初期と現在の大きく異なる点は、為替水準が異なること。安倍政権に先立つ民主党政権時代には1ドル80円を割る異常な円高が2年ほど継続し、本邦企業は体力を大きく損ねておりました。1ドル150円弱が続いた現在では、企業は体力を回復し、賃上げ余力も生まれている。

我が国の経済環境を評価する際には、「失われた30年」という長期停滞を無視できず、1985年のプラザ合意を含む歴史の中で評価しなくてはいけない。1985年以前のドル円は200円台前半だったのですね。さすがにこれは円安に過ぎるのでしょうが、少なくとも1ドル120円以下を『普通』とする考えは、捨てたほうが良いでしょう。

1 thoughts on “経済環境評価は総合的な視点で

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