北尾吉孝氏の11/27付けアゴラ記事「日本復活のカギは『革新的技術への信奉』」へのコメントです。
日本は、基礎研究では優れた成果を多数上げているのですが、いざこれを応用する段になると、海外企業に先を越されるということが繰り返されております。核融合では、米国TAEテクノロジー社が、普通の水素と普通のホウ素(ホウ素11)を核融合させるという画期的な手法で核融合に取り組んでいるのですが、この技術責任者(CSO)を務めておられるのが日本人である田島俊樹氏なのですね。
そういえば、最近ノーベル賞を受賞された日本人の何人かは米国国籍でした。これらが意味するところは、我が国はこの手の先進技術を実用化する上で、何らかの障害がある。優れた研究者に、力を発揮させない何かがある、ということなのですね。
テレビを見ても、今やリモコンにYoutubeやNetflix、Fuluなどの選択ボタンがあるのですが、彼らはかつて電波で行っていたテレビ放送をネット経由に変え大成功を収めております。これらがネットの利用を積極的に進めたのは2007年以降だったのですが、これに先立つ2005年には、ネットとテレビの融合を掲げてフジサンケイグループ買収を仕掛けた堀江氏がありました。
堀江氏の試みは、結局彼が微罪で起訴され有罪判決を受けることでとん挫したのですが、今日のNetflixの株式時価総額はフジ・メディア・ホールディングスのなんと100倍もしております。こんなことをやっていては、我が国が先端技術で国力を増そうなど、夢のまた夢です。
核融合にせよ、量子コンピュータにせよ、いわゆる「ディスラプティブ・イノベーション(破壊的技術革新)」には、破壊される側の企業がある。核融合ならさしあたり原発を多数抱えた電力会社があるのですね。これらを抑えて果たして新しい技術をものにできるか。これが次の日本に問われているのではないでしょうか。