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政府と日銀、立場の違いは当然

アゴラ編集部の2/25付けアゴラ記事「高市首相と植田総裁会談「追加利上げに難色」報道でふたたび円安が進行」へのコメント(ブログ限定)です。


16日に首相官邸で行われた高市早苗首相と日銀の植田和男総裁の会談をめぐり、24日の毎日新聞報道をきっかけに、追加利上げをめぐる政府と日銀の温度差が浮き彫りになった。

日銀が通貨の信認を第一に考えるのは、通貨を発行する立場である以上、当然と言えるでしょう。これに対して高市総理率いる政府は、通貨の信認も考えなくてはいけないのですが、それと同時に、日本経済全体の動きを考えなくてはいけない。景気を維持して、国内の経済を活性化し、企業が利益を上げ、国民生活を豊かにする。これが行政の長に課せられた使命なのですね。

で、金利引き上げは、これらのパラメータにどのような効果を及ぼすのでしょうか。

まず、金利をあげれば、資金運用を円で行う有利さが増します。円建て債券を買ったり、円で貯金すると高い金利が得られるのですね。この結果、円の交換比率は上昇する、円高になります。これは日銀の喜ぶ、円に対する信認が増した状態になるのですね。

円高が進む結果、輸入品コストが低下し、特にエネルギーや食料品の値が下がれば、消費者物価は低下し、生活は豊かになる。物価が下がれば国内企業の収益は低下するのですが、給与がすぐに下がるということはありませんので、多くの国民にとって歓迎すべき状態になるのですね。

一方、金利上昇は、景気を冷やす効果があり、国内の企業は全体に収益を悪化させます。特に輸出関連企業と、輸入品との競争が激しい業界にあっては、企業収益は大きく悪化します。これは、法人税の減少を招きますし、賃上げを困難にし、政府の税収は低下することになります。

税収の低下は、政府にとっては大きな問題で、国民福祉の水準低下を防ごうと思えば赤字国債を発行するしかなくなる。これは、めぐりめぐって、自国通貨の信認を損ねる結果ともなりかねないのですね。一方で、国民生活を犠牲にする形で財政規律を維持しようとすると、国民の反発を招き、政権の存続も怪しくなる。ここでまかり間違って、人気取り第一のポピュリスト政権などが誕生いたしますと、これまでの努力が水の泡となってしまうのですね。

先の衆院選での大勝利を受けて、高市政権一強という雰囲気が高まっておりますが、高市氏が自民党総裁に選ばれてから衆院選までの間、政権交代の可能性が高まった時期がありました。公明党が与党から離脱した際、他の野党が全部まとまれば政権は交代していた。維新が自民についたから避けられはしたのですが。また、先の衆院選も、前回の投票数を足し算した結果では、自民大敗などという計算も、一応は成り立っていたのですね。この先、政府が国民の人気を失うようなことがありますと、三たび政権交代のリスクが高まることもないとは言えない。国民の福祉にも、相当に、気を配って政権運営しなければならない事情はあるのですね。

と、いうわけで、政府と日銀は、この辺りの意思疎通をきっちりしておく必要があるでしょう。財政規律も大事だけど、景気を悪化させて税収が減ってしまっては元も子もない。国民の支持を失い、ポピュリスト政権に交替したら、財政規律もくそもなくなってしまう。自国通貨の信認も大事だけれど、信認され過ぎるのも考え物で、かつて見られたような「有事の円高」などは願い下げにしたい。

外に対しては、間違っても口外できないのですが、政府日銀の間で、「好ましい為替レート」に関して、おおよそのところの認識を共通化しておくのもよいでしょう。私はこれを、「165円±15円」と考えているのですが、もしかすると日銀は「135±15」あたりと考えているかもしれず、もしそうであるならここは、認識の統一を図らなくてはいけないと思います。まあ、外には語れない内容だけに、この認識の共通化、難しいところではあるのですけど。

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